長短経 / 適変
昔先王當時而立法度、臨務而制事、法宜其時則理、事適其務故有功。今時移而法不變、務易而事以古、是則法與時詭、而事與務易、是以法立而時益亂、務無而事益廢。此聖人之理國也、不法古、不修今、當時而立功、在難而能免。
新字:昔先王当時而立法度、臨務而制事、法宜其時則理、事適其務故有功。今時移而法不変、務易而事以古、是則法与時詭、而事与務易、是以法立而時益乱、務無而事益廃。此聖人之理国也、不法古、不修今、当時而立功、在難而能免。
書き下し
昔、先王は時に当たりて法度を立て、務めに臨みて事を制す。法、其の時に宜しければ則ち理まり、事、其の務めに適えば故に功有り。今、時移りて法変わらず、務め易わりて事は古を以てす。是れ則ち法と時と詭き、事と務めと易わるなり。是を以て法立ちて時は益々乱れ、務め無くして事は益々廃る。此れ聖人の国を理むるや、古に法らず、今に修らず、時に当たりて功を立て、難に在りて能く免る。
現代語訳
昔、先王はその時に合わせて法度を立て、その務めに臨んで事を定めた。法がその時に適っていれば治まり、事がその務めに合っていれば功が上がった。いま、時は移ったのに法は変わらず、務めは変わったのに事を昔のやり方で処理する。これでは法と時がすれ違い、事と務めが食い違う。だから法を立てるほど時勢は乱れ、務めがないのに事だけが廃れていく。聖人が国を治めるときは、古に倣わず、今にも固執せず、その時に合わせて功を立て、難局にあってもうまく抜け出す。
解説
適変篇の冒頭です。法は時に合っていたから治まった。だから時が動けば法も動かさなければ、法を立てるほど乱れる。ここまでは変法論のお決まりですが、続く一句が独特です。古に法らず、今に修らず。昔にも倣わないが、いまのやり方にも固執しない。改革を叫ぶ人は、たいてい新しいやり方のほうに固執します。趙蕤が求めているのは、どちらにも寄りかからずに時を読む姿勢のほうです。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
適変法時変法古に法らず時勢
関連する章句
-
『韓非子』六反第四十六夫れ痤を弾く者は痛み、薬を飲む者は苦し、苦憊の故の為に痤を弾き薬を飲まざれば、則ち身活きず、病已まず。
-
『韓非子』八説第四十七古者は事寡くして備へ簡に、樸陋にして盡くさず、故に珧銚ありて車を推す者有り。古者は人寡くして相親しみ、物多くして利を輕んじ讓り易し、故に揖讓して天下を傳ふる者有り。然らば則ち揖讓を行ひ、慈惠を高くし、仁厚を道ふは、皆推政なり。多事の時に處りて、寡士の器を用ふるは、智者の備へに非ざるなり。大爭の世に當りて、揖讓の軌に循ふは、聖人の治に非ざるなり。故に智者は推車に乘らず、聖人は推政を行はざるなり。法は事を制する所以なり、事は功を名づくる所以なり。法立つ有りて難有るも、其の難を權りて事成らば、則ち之を立つ。事成りて害有るも、其の害を權りて功多ければ、則ち之を爲す。難無きの法、害無きの功は、天下に有ること無きなり。是を以て千丈の都を拔き、十萬の衆を敗り、死傷する者軍の乘、甲兵折挫し、士卒死傷するも、戰勝ちて地を得たるを賀する者は、其の小害を出して其の大利を計ればなり。夫れ沐する者には弃髪有り、除する者は血肉を傷つく。人の其の難を見て、因りて其の業を釋つるを爲すは、是れ術無きの士なり。先聖言有りて曰く、「規に摩有りて水に波有り、我之を更めんと欲すれども、之を奈何ともする無し」と。此れ權に通ずるの言なり。是を以て說に必ず立ちて實に曠しき者有り、言に辭拙くして用に急なる者有り。故に聖人は害無きの言を求めずして、易ふる無きの事を務む。人の衡石を事とせざるは、貞廉にして利に遠ざかるに非ず、石は人の爲に多少なる能はず、衡は人の爲に輕重なる能はず、求索して得る能はず、故に人事とせざるなり。明主の國は、官敢へて法を枉げず、吏敢へて私利を爲さず、貨賂行はれず、
-
『春秋左氏伝』昭公四年 苟も社稷を利せば九月、鄫を取る。易きを言ふなり。莒亂る。著丘公立ちて鄫を撫せず。鄫叛きて來る。故に取ると曰ふ。凡そ邑に克ちて、師徒を用ゐざるを取ると曰ふ。鄭の子產丘賦を作る。國人之を謗りて曰く、「其の父は路に死し、己は蠆尾(たいび)と為りて、以て國に令す。國將に之を若何せん」と。子寬以て告ぐ。子產曰く、「何ぞ害あらん。苟も社稷を利せば、死生之を以てせん。且つ吾聞く、善を為す者は其の度を改めず、故に能く濟すこと有りと。民は逞(ほしいまま)にすべからず、度は改むべからず。詩に曰く、『禮義愆(あやま)たずんば、何ぞ人の言を恤へん』と。吾遷らず」と。渾罕曰く、「國氏其れ先づ亡びんか。君子法を涼(うす)きに作るも、其の敝は猶ほ貪なり。法を貪に作らば、敝將に之を若何せん。姬の列に在る者、蔡及び曹・滕、其れ先づ亡びんか。偪(せま)りて禮無し。鄭は衛に先だちて亡びん。偪りて法無し。政法に率(したが)はずして、心に制す。民各心有り、何の上か之れ有らん」と。冬、吳楚を伐ちて、棘・櫟・麻に入る。以て朱方の役に報ゆるなり。楚の沈尹射夏汭に奔命す。咸尹宜咎鍾離に城き、薳啟疆巢に城き、然丹州來に城く。東國水あり、以て城くべからず。彭生賴の師を罷む。
-
易経・蠱卦周易 第十八卦。巽下艮上。易経。蠱は、元いに亨る。大川を渉るに利ろし。甲に先だつこと三日、甲に後るること三日。初六、父の蠱を幹す、子有れば考咎无し、厲けれども終には吉。九二、母の蠱を幹す、貞にすべからず。九三、父の蠱を幹す、小しく悔い有れども、大いなる咎无し。六四、父の蠱を裕かにす、往けば吝を見る。六五、父の蠱を幹す、用て誉れあり。上九、王侯に事えず、其の事を高尚にす。彖に曰く、
-
『韓非子』六反第四十六「政を為すは猶ほ沐のごときなり、弃髪有りと雖も、必ず之を為す。」弃髪の費を愛みて長髪の利を忘るるは、権を知らざる者なり。
-
易経・革卦周易 第四十九卦。離下兌上。易経。革は、巳日(いじつ)乃ち孚あり、元いに亨る、貞に利あり、悔亡ぶ。初九、鞏(かた)むるに黄牛の革を用ゐる。六二、巳日乃ち之を革む、征けば吉、咎无し。九三、征けば凶、貞なれども厲ふし。革言三たび就(な)りて、孚有り。九四、悔亡ぶ、孚有りて命を改む、吉。九五、大人虎変す、未だ占はずして孚有り。上六、君子豹変す、小人は面を革む。征けば凶、居りて貞なれば吉。彖に曰く、