長短経 / 臣行
專權擅勢、以輕為重、私門成黨、以富其家、擅矯主命、以自顯貴。如此者、賊臣也。謟主以佞邪、墜主于不義、朋黨比周、以蔽主明、使白黑無别、是非無聞、使主惡布於境内、聞于四隣。如此者、亡國之臣也。
新字:専権擅勢、以軽為重、私門成党、以富其家、擅矯主命、以自顕貴。如此者、賊臣也。謟主以佞邪、墜主于不義、朋党比周、以蔽主明、使白黒無別、是非無聞、使主悪布於境内、聞于四隣。如此者、亡国之臣也。
書き下し
権を専らにし勢いを擅にし、軽きを以て重しと為す。私門に党を成し、以て其の家を富ます。擅ままに主命を矯めて、以て自ら顕貴す。此くの如き者は賊臣なり。主に諂うに佞邪を以てし、主を不義に墜とす。朋党比周して、以て主の明を蔽う。白黒をして別無く、是非をして聞こゆる無からしむ。主の悪をして境内に布き、四隣に聞こえしむ。此くの如き者は亡国の臣なり。
現代語訳
権力を独占し勢いを思うままにし、軽いものを重いものとする。自分の門下に党派を作り、それによって自分の家を富ませる。勝手に主君の命令を偽って、自分を高く貴くする。このような者は賊臣である。主君にへつらうのによこしまな手を用い、主君を不義に落とす。徒党を組んで結びつき、主君の明察を覆い隠す。白と黒の区別をなくさせ、是非が聞こえないようにさせる。主君の悪評を国じゅうに広め、隣国にまで聞こえさせる。このような者は亡国の臣である。
解説
六邪の最後の二つです。賊臣の定義に、以軽為重、軽いものを重いものとする、という一句が入っているのが鋭い。重要度の判断を歪めることが、権力の私物化の入り口だという指摘です。そして最悪の亡国の臣は、主君の悪評を外まで広めてしまう。自分では主君を守っているつもりで、実は主君の名を最も傷つける。忠誠を口にする側近ほど、この危険があります。
この章句が説くこと
臣行六邪賊臣亡国の臣専権朋党
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