長短経 / 君徳
昔季康子問五帝之徳於孔子、孔子曰、「天有五行、木火金水及土。分時賛化育、以成物。」〔一歲三百六十日、五行行七十二日、化生長育。〕其神為五帝緯〔五帝、五行之神。〕古之王者、易代改號、取法五行。五行更王、終始相生、亦象其義。故其生為明王者、而死配五行。是以太皡配木〔勾芒為木正也、〕炎帝配火〔祝融為火正也、〕少皥配金〔蓐收為金正也、〕顓頊配水〔𤣥㝠為水正也、〕黄帝配土〔后土為土正也。〕
新字:昔季康子問五帝之徳於孔子、孔子曰、「天有五行、木火金水及土。分時賛化育、以成物。」〔一歳三百六十日、五行行七十二日、化生長育。〕其神為五帝緯〔五帝、五行之神。〕古之王者、易代改号、取法五行。五行更王、終始相生、亦象其義。故其生為明王者、而死配五行。是以太皡配木〔勾芒為木正也、〕炎帝配火〔祝融為火正也、〕少皥配金〔蓐収為金正也、〕顓頊配水〔玄㝠為水正也、〕黄帝配土〔后土為土正也。〕
書き下し
昔、季康子、五帝の徳を孔子に問う。孔子曰く「天に五行有り。木・火・金・水及び土なり。時を分かち化育を賛け、以て物を成す」と。〔一歳三百六十日、五行は行ごとに七十二日、化生長育す。〕其の神を五帝と為す。〔五帝は五行の神なり。〕古の王者、代を易え号を改むるに、法を五行に取る。五行更わる王たり、終始相い生ず。亦た其の義に象る。故に其の生きて明王為る者は、死して五行に配す。是を以て太皡は木に配し、〔勾芒は木正と為すなり。〕炎帝は火に配し、〔祝融は火正と為すなり。〕少皥は金に配し、〔蓐収は金正と為すなり。〕顓頊は水に配し、〔玄冥は水正と為すなり。〕黄帝は土に配す。〔后土は土正と為すなり。〕
現代語訳
昔、季康子が五帝の徳について孔子に尋ねた。孔子は言った。「天には五行がある。木・火・金・水と土である。季節を分けて生成を助け、それによって物を成す」。〔一年三百六十日を、五行がそれぞれ七十二日ずつ司り、生み育てる。〕その神を五帝とする。〔五帝は五行の神である。〕昔の王は、代が替わり号を改めるとき、五行に法を取った。五行は交替して王となり、始めと終わりが互いを生む。それにかたどったのである。だから生きて名君であった者は、死んで五行に配される。だから太皡は木に配され、〔勾芒が木の正官である。〕炎帝は火に配され、〔祝融が火の正官である。〕少皥は金に配され、〔蓐収が金の正官である。〕顓頊は水に配され、〔玄冥が水の正官である。〕黄帝は土に配される。〔后土が土の正官である。〕
解説
この章句が説くこと
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孔子家語・五帝季康子、孔子に問いて曰わく、「旧く五帝の名を聞くも、その実を知らず。請う問う、何をか五帝と謂うや。」孔子曰わく、「昔丘や諸を老聃に聞く、曰わく、『天に五行有り、水火金木土、時を分かちて化育し、以て万物を成す。』その神をこれ五帝と謂う。古の王者、代を易えて号を改め、法を五行に取る。五行更わる更わる王たり、終始相生じ、亦たその義に象る。故にその明王たる者、死して五行に配す、ここを以て太皞は木に配し、炎帝は火に配し、黄帝は土に配し、少皞は金に配し、顓頊は水に配す。」
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孔子家語・五帝康子曰わく、「吾聞く、句芒を木正と為し、祝融を火正と為し、蓐收を金正と為し、玄冥を水正と為し、后土を土正と為す、と。此れ則ち五行の主なるに、乱れて帝と称せざるは、何ぞや。」孔子曰わく、「凡そ五正なる者は、五行の官名なり。五行は上帝を佐け成して五帝と称す。太皞の属これに配し、亦た帝と云うは、その号に従うなり。昔、少皞氏の子に四叔有り、重と曰い、該と曰い、修と曰い、熙と曰う。実に金・木及び水に能す。重をして勾芒と為さしめ、該をして蓐收と為さしめ、修及び熙をして玄冥と為さしむ。顓頊氏の子は黎と曰い、祝融と為る。共工氏の子は、勾龍と曰い、后土と為る。此の五者、各々その能くする所の業を以て官職と為す。生きては上公と為り、死しては貴神と為り、別に五祀と称し、帝と同じきを得ず。」
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『長短経』君徳〔黄帝なる者は、天地の紀に順い、時に百穀を播き、心を懃め耳目を力め、水火時物を節用し、土徳の瑞有り、故に黄帝と号す。顓頊なる者は、材を養いて以て地に任じ、時を載せて以て天に象り、鬼神に依りて以て義を制し、気を治めて以て教化し、誠を潔くして以て祭祀す。動静の物、大小の神、日月の照らす所、砥礪せざるは莫し。高辛なる者は、地の財を取りて之を節用し、万人を撫教して之を利誨し、日月を暦して之を迎送し、鬼神を明らかにして之に敬事す。其の色は郁郁、其の徳は嶷嶷たり。帝堯なる者は、其の仁は天の如く、其の智は神の如し。之に就くこと日の如く、之を望むこと雲の如し。富みて驕らず、貴くして舒かならず。虞舜なる者は、善は微にして著れざる無く、悪は隠れて彰れざる無し。自然に任せて以て誅賞し、群心に委ねて以て制に就く。故に能く無為に造御し、至和に道を運らす。百姓は日に用いて知らず、徳に合すること自ら有るが若し。此れ五帝の徳なり。〕
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『長短経』君徳帝王、号を改むるに、五行の徳に於て、各々尚ぶ所有り。其の王たる所の徳に従いて次ぐ。〔木家の次位は火なり。木家は赤を尚ぶ。木徳義の府を以て其の母に循い、其の子を兼ぬるなり。〕夏后氏は金徳を以て王として黒を尚び、殷人は水徳を以て王として白を尚ぶ。〔水家は青を尚ぶ。而るに白を尚ぶは、土家の青を尚ぶを避くるなり。土家は宜しく白を尚ぶべし。土為る者は四行の主にして、四季に主たり。五行の用事は、先ず木より起こる。故に土家は木の色青きを尚ぶなり。〕周人は木徳を以て王として色は赤を尚ぶ。此れ三代の同じからざる所以なり。漢の初めに及び、孫臣・賈誼は以為えらく漢は土徳なりと。五行の伝を以て、勝たざる所に従う。〔伝は移の伝なり。五行相い代わるは、常に金木水火土相い勝つの法に従うなり。〕秦は水徳に在り。故に漢は土に拠りて之に剋つと謂う。劉向父子は以為えらく帝は震より出づ。故に庖犧氏は始めて木徳を受く。其の後は母を以て子に伝え、終わりて復た始まる。神農・黄帝より、下って唐虞三代を歴て、漢は火を得たり。故に高祖始めて起こるや、神母夜に号し、赤帝の符を著す。天統を得たるなり。昔、共工は水徳を以て木火の間に間たり。秦と運を同じくす。其の次に非ず。故に皆な永からざるなり。
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『長短経』君徳〔吾が之を観るを以てすれば、帝王の興るは、各々其の出づる所の五帝の後に本づき、以て五徳を定む。何を以て之を明らかにせん。漢は堯の後なり。堯は火徳の王なり。故に漢は火と為る。袁紹の時、耿包曰く「赤徳衰え尽く。袁は黄胤為り」と。以て袁は舜の後と為す。舜は土徳の君なり。故に進むるを勧むるなり。是れ帝王の興るは、各々其の出づる所に本づくを知る。五帝の後、自ら来たること有り。今、秦は顓頊の後、水徳なり。故に秦は水徳と為るなり。〕此を以て之を観れば、百代と雖も知る可きなり。
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孔子家語・五帝康子曰わく、「太皞氏のその木を始めとするは何如。」孔子曰わく、「五行の事を用うるに、先ず木に起こる。木は東方にして万物の初め皆焉より出づ。ここを以て王者はこれに則り、首として木徳を以て天下に王たり。その次はすなわちその生ずる所の行を以て、転じて相承くるなり。」