長短経 / 君徳
〔鬻子曰、「發政施令、為天下福者、謂之道。上下相親、謂之和。民不求而得所欲、謂之信。除天下之害、者謂之仁。仁與信、和與道、帝王之器也。」由此言之、豪雄小智、何益于樂推哉?〕宋祖誅滅桓𤣥、再興晉室、梁代裴子野優之于宣武、其事云何?
新字:〔鬻子曰、「発政施令、為天下福者、謂之道。上下相親、謂之和。民不求而得所欲、謂之信。除天下之害、者謂之仁。仁与信、和与道、帝王之器也。」由此言之、豪雄小智、何益于楽推哉?〕宋祖誅滅桓玄、再興晋室、梁代裴子野優之于宣武、其事云何?
書き下し
〔鬻子曰く「政を発し令を施して、天下の福を為す者、之を道と謂う。上下相い親しむ、之を和と謂う。民、求めずして欲する所を得る、之を信と謂う。天下の害を除く者、之を仁と謂う。仁と信、和と道は、帝王の器なり」と。此に由りて之を言えば、豪雄の小智、何ぞ楽推に益あらんや。〕宋祖は桓玄を誅滅し、再び晋室を興す。梁代の裴子野、之を宣武に優れりとす。其の事は云何。
現代語訳
〔鬻子はこう言った。「政策を発し命令を施して、天下の福となるもの、これを道という。上下が互いに親しむこと、これを和という。民が求めないうちに望むものが得られること、これを信という。天下の害を除くこと、これを仁という。仁と信、和と道は、帝王の器である」。ここから言えば、豪傑の小さな知恵が、喜んで推戴されることに何の役に立とう。〕宋の高祖(劉裕)は桓玄を誅滅し、ふたたび晋の王室を興した。梁代の裴子野は、これを晋の宣帝より優れているとした。その事情はどうか。
解説
帝王の器を四つの言葉で定義します。とくに信の定義が独特です。民が求めないうちに望むものが得られること。要求される前に手が届いている状態を信と呼んでいる。約束を守ることではなく、言われる前に整っていることを信とする。上が下に対して持つべき信頼性は、そういう形をとるというのです。求められてから動くのでは、すでに遅い。
この章句が説くこと
君徳鬻子帝王の器道和信仁先回り器量
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