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長短経 / 君徳

〔陳夀云、「劉備機權幹畧、不逮魏武、所以基宇亦狹。」張輔曰、「何為其然?夫撥亂之主、當先以收相獲將為本、一身善戰、不足恃也。諸葛孔明達禮知變、殆王佐之才、𤣥徳無强盛之勢而令委質、闗侯、張飛皆人傑也、服而使之。夫明暗不相為用、能否不相為使。武帝雖處安强、不為之用也、况在危急之間乎?若令𤣥徳據有中州、將與周室比隆、豈徒二傑而已。」

新字:〔陳寿云、「劉備機権幹略、不逮魏武、所以基宇亦狭。」張輔曰、「何為其然?夫撥乱之主、当先以収相獲将為本、一身善戦、不足恃也。諸葛孔明達礼知変、殆王佐之才、玄徳無強盛之勢而令委質、関侯、張飛皆人傑也、服而使之。夫明暗不相為用、能否不相為使。武帝雖処安強、不為之用也、況在危急之間乎?若令玄徳拠有中州、将与周室比隆、豈徒二傑而已。」

書き下し

〔陳寿云う「劉備の機権幹略は、魏武に逮ばず。基宇も亦た狭き所以なり」と。張輔曰く「何ぞ其れ然らん。夫れ乱を撥むるの主は、当に先ず相を収め将を獲るを以て本と為すべし。一身善く戦うは、恃むに足らざるなり。諸葛孔明は礼に達し変を知る。殆ど王佐の才なり。玄徳に強盛の勢い無くして、而も委質せしむ。関侯・張飛は皆な人傑なり。服して之を使う。夫れ明暗は相い用を為さず、能否は相い使を為さず。武帝は安強に処ると雖も、之が用を為さざるなり。況んや危急の間に在るをや。若し玄徳をして中州を拠有せしめば、将に周室と隆を比せんとす。豈に徒だ二傑のみならんや」と。

現代語訳

〔陳寿はこう言った。「劉備の機略と実務の才は、曹操に及ばない。だから領土も狭かったのである」。張輔は言った。「どうしてそうだと言えよう。乱を収める君主は、まず宰相を得て将を獲ることを本とすべきである。自分一人が戦上手であることは、頼りにならない。諸葛孔明は礼に通じ変化を知る。ほとんど王者の補佐の才である。劉備には強大な勢力がなかったのに、それでも身を委ねさせた。関羽・張飛はどちらも人傑である。心服させて使った。明るい者と暗い者は互いに用をなさず、能ある者と無い者は互いに使い合わない。曹操は安定し強大であったが、諸葛亮は彼のために働かなかった。まして危急のときならなおさらだ。もし劉備に中原を領有させていたら、周王室と隆盛を並べただろう。二人の傑物どころではない」。

解説

張輔の反論の核心は、明暗は相い用を為さず、能否は相い使を為さず、という一句です。同じ水準の者どうしでなければ、使い使われる関係は成り立たない。諸葛亮が曹操のもとへ行かなかったのは、条件の問題ではなく水準の問題だ、と。優秀な人が来ないと嘆く組織は、条件を上げる前に、自分たちの水準を疑ってみる必要があります。

この章句が説くこと

君徳劉備諸葛亮張輔陳寿人材

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