長短経 / 君徳
或曰、「漢武帝雄才大略、可方前代何主?」虞南曰、「漢武承六世之業、海内殷富。又有髙人之資、故能總攬英雄、駕御豪傑、内興禮樂、外開邊境、制度憲章、煥然可述。方于始皇、則為優矣。至於驕奢暴虐、可以相亞、並功有餘而徳不足。」
新字:或曰、「漢武帝雄才大略、可方前代何主?」虞南曰、「漢武承六世之業、海内殷富。又有高人之資、故能総攬英雄、駕御豪傑、内興礼楽、外開辺境、制度憲章、煥然可述。方于始皇、則為優矣。至於驕奢暴虐、可以相亜、並功有余而徳不足。」
書き下し
或るひと曰く「漢の武帝は雄才大略なり。前代の何の主にか方ぶ可き」と。虞南曰く「漢武は六世の業を承け、海内殷富なり。又た高人の資有り。故に能く英雄を総攬し、豪傑を駕御し、内は礼楽を興し、外は辺境を開く。制度憲章、煥然として述ぶ可し。始皇に方ぶれば、則ち優れりと為す。驕奢暴虐に至りては、以て相い亜ぐ可し。並びに功余り有りて徳足らず」と。
現代語訳
ある人が言った。「漢の武帝は並外れた才と大きな計略を持っていました。前代のどの君主に比べられますか」。虞世南は言った。「漢の武帝は六代の事業を受け継ぎ、天下は豊かだった。また人に勝る資質があった。だから英雄を総括し豪傑を御し、内では礼楽を興し、外では辺境を開いた。制度と法令は輝かしく語るに足りる。始皇帝に比べれば優れている。しかし驕り奢り暴虐であった点では、始皇帝に次ぐ。どちらも功績は余りあるが徳が足りない」。
解説
功余りありて徳足らず、という八字が漢武帝への定評になりました。制度も文化も外征も、成果としては輝かしい。それでも徳が足りないと断じる。ここで言う徳とは、民を疲れさせなかったかという一点でしょう。成果の大きさと、その成果を上げるために誰が消耗したか。この二つを別々に採点する評価法です。業績表だけを見ていると、後者は永久に見えません。
この章句が説くこと
君徳漢武帝虞世南始皇帝功と徳外征
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