長短経 / 君徳
霸主制士以權、結士以信、使士以賞。信衰士疏賞毁、士不為用。〔《左傳》曰、「楚圍宋、宋如晉告急。先軫曰、『報施救患、取威定伯于是乎在矣。狐偃曰、『楚始得曹而新婚于衛、若伐曹、衛、楚必救之、則齊、宋免矣。』于是乎蒐于被廬、作三軍、謀元帥、使卻縠將中軍。晉侯始入而教其民。二年、欲用之、子犯曰、『民未知義、未安其居。』于是乎出定襄王、入務利民、民懷生矣。將用之、子犯曰、『人未知信、未宣其用。』于是乎伐原以示之信。民易資者、不求豐焉、明徵其辭。公曰、『可矣乎?』子犯曰、『民未知禮、未生其恭。』于是乎大蒐以示之禮、作執秩以正其官、人聽不惑而後用之。出榖戍、釋宋圍、一戰而霸、文之教也。」此五霸徳也。〕
新字:覇主制士以権、結士以信、使士以賞。信衰士疏賞毀、士不為用。〔《左伝》曰、「楚囲宋、宋如晋告急。先軫曰、『報施救患、取威定伯于是乎在矣。狐偃曰、『楚始得曹而新婚于衛、若伐曹、衛、楚必救之、則斉、宋免矣。』于是乎蒐于被廬、作三軍、謀元帥、使却縠将中軍。晋侯始入而教其民。二年、欲用之、子犯曰、『民未知義、未安其居。』于是乎出定襄王、入務利民、民懐生矣。将用之、子犯曰、『人未知信、未宣其用。』于是乎伐原以示之信。民易資者、不求豊焉、明徴其辞。公曰、『可矣乎?』子犯曰、『民未知礼、未生其恭。』于是乎大蒐以示之礼、作執秩以正其官、人聴不惑而後用之。出穀戍、釈宋囲、一戦而覇、文之教也。」此五覇徳也。〕
書き下し
覇主は士を制するに権を以てし、士を結ぶに信を以てし、士を使うに賞を以てす。信衰え士疎く賞毀たれば、士は用を為さず。〔左伝に曰く「楚、宋を囲む。宋、晋に如きて急を告ぐ。先軫曰く『施に報い患を救い、威を取り伯を定むるは、是に於てか在り』と。狐偃曰く『楚、始めて曹を得て新たに衛に婚す。若し曹・衛を伐たば、楚必ず之を救わん。則ち斉・宋免れん』と。是に於てか被廬に蒐し、三軍を作り、元帥を謀り、卻縠をして中軍を将いしむ。晋侯、始めて入りて其の民を教う。二年、之を用いんと欲す。子犯曰く『民、未だ義を知らず、未だ其の居に安んぜず』と。是に於てか出でて襄王を定め、入りて民を利するを務む。民、生を懐えり。将に之を用いんとす。子犯曰く『人、未だ信を知らず、未だ其の用を宣べず』と。是に於てか原を伐ちて以て之に信を示す。民の資を易うる者、豊かなるを求めず、其の辞を明らかに徴す。公曰く『可なるか』と。子犯曰く『民、未だ礼を知らず、未だ其の恭を生ぜず』と。是に於てか大いに蒐して以て之に礼を示し、執秩を作りて以て其の官を正す。人の聴、惑わずして而る後に之を用う。穀の戍を出だし、宋の囲みを釈き、一戦にして覇たり。文の教えなり」と。此れ五霸の徳なり。〕
現代語訳
覇者は士を治めるのに権謀をもってし、士を結びつけるのに信をもってし、士を使うのに賞をもってする。信が衰え士が離れ賞が損なわれれば、士は用をなさない。〔左伝にこうある。「楚が宋を囲んだ。宋は晋へ行って急を告げた。先軫は言った。『恩に報い患いを救い、威を取って覇者の地位を定めるのは、ここにある』。狐偃は言った。『楚は曹を手に入れたばかりで、衛と新たに婚姻を結んだ。もし曹と衛を討てば、楚は必ずこれを救う。そうすれば斉と宋は助かる』。そこで被廬で軍を集め、三軍を編成し、元帥を決め、卻縠に中軍を率いさせた。晋侯は帰国したばかりで民を教育していた。二年目に民を使おうとした。子犯は言った。『民はまだ義を知らず、住まいに落ち着いていません』。そこで出兵して襄王を復位させ、帰って民を利することに努めた。民は生活に落ち着いた。使おうとすると、子犯は言った。『人はまだ信を知らず、用い方が行き渡っていません』。そこで原を討って信を示した。民のうち物々交換をする者は儲けを求めず、言葉を明らかに証した。文公は『もうよいか』と言った。子犯は言った。『民はまだ礼を知らず、恭しさが生まれていません』。そこで大演習をして礼を示し、執秩の官を作って官職を正した。人々の受け取り方が惑わなくなってから、これを用いた。穀の守備を引き揚げ、宋の囲みを解き、一度の戦いで覇者となった。文による教化である」。これが五覇の徳である。〕
解説
この章句が説くこと
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