長短経 / 察相
鼻孔小縮、凖頭低曲者、慳恡人也。〔肺出為鼻孔、又主皮膚、又為氣息、藏於魄。好鼻者、有聲譽。鼻柱薄而梁䧟者、多病厄人也。鼻無媚、憨惷人也。蜣蜋鼻、少意智人也。〕耳孔小、齒瓣細者、邪諂姦佞人也。〔腎出為骨、又主髓。髓窮為耳孔、骨窮為齒、藏於志。《經》曰、耳亢深廣者、心虗而識𤣥。耳孔醜小者、無智而不信神理。耳邊無媚鄙拙人也。耳孔小而節骨曲戾者、無意智人也。老䑕耳者、殺人不死。又云、䑕耳之人、多作偷盗者也。〕
新字:鼻孔小縮、凖頭低曲者、慳恡人也。〔肺出為鼻孔、又主皮膚、又為気息、蔵於魄。好鼻者、有声誉。鼻柱薄而梁陥者、多病厄人也。鼻無媚、憨惷人也。蜣蜋鼻、少意智人也。〕耳孔小、歯瓣細者、邪諂姦佞人也。〔腎出為骨、又主髄。髄窮為耳孔、骨窮為歯、蔵於志。《経》曰、耳亢深広者、心虚而識玄。耳孔醜小者、無智而不信神理。耳辺無媚鄙拙人也。耳孔小而節骨曲戻者、無意智人也。老鼠耳者、殺人不死。又云、鼠耳之人、多作偸盗者也。〕
書き下し
鼻孔小さく縮み、準頭低く曲がる者は、慳吝の人なり。〔肺は出でて鼻孔と為り、又た皮膚を主り、又た気息と為り、魄に蔵る。鼻好き者は、声誉有り。鼻柱薄くして梁陥る者は、病厄多き人なり。鼻に媚無きは、憨惷の人なり。蜣蜋鼻は、意智少なき人なり。〕耳孔小さく、歯瓣細き者は、邪諂姦佞の人なり。〔腎は出でて骨と為り、又た髄を主る。髄は窮まりて耳孔と為り、骨は窮まりて歯と為り、志に蔵る。経に曰く、耳亢く深広なる者は、心虚にして玄を識る。耳孔醜小なる者は、智無くして神理を信ぜず。耳辺に媚無きは鄙拙の人なり。耳孔小さくして節骨曲戻する者は、意智無き人なり。老鼠耳なる者は、人を殺して死せず。又た云う、鼠耳の人は、多く偸盗を作す者なり。〕
現代語訳
鼻の孔が小さく縮み、鼻先が低く曲がっている者は、けちで物惜しみする人である。〔肺は外に出て鼻孔となり、また皮膚をつかさどり、また呼吸となり、魄に蔵される。鼻の良い者は名声がある。鼻柱が薄く鼻筋がくぼんでいる者は、病や災いの多い人である。鼻に愛嬌がないのは、愚かな人である。糞転がしのような鼻は、知恵の少ない人である。〕耳の孔が小さく、歯の並びが細い者は、よこしまでへつらう人である。〔腎は外に出て骨となり、また髄をつかさどる。髄は極まって耳孔となり、骨は極まって歯となり、志に蔵される。兵法書にこうある。耳が高く深く広い者は、心が虚で奥深いことを理解する。耳の孔が醜く小さい者は、知恵がなく道理を信じない。耳もとに愛嬌がないのは、卑しく拙い人である。耳の孔が小さく関節の骨がねじれている者は、知恵のない人である。年老いた鼠のような耳の者は、人を殺しても死なない。またこうも言う。鼠の耳の人は、多く盗みを働く。〕
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『長短経』察相耳輪厚大、鼻準円実、乳頭端浄、頦頤深広厚大なる者は、忠信謹厚の人なり。〔脾は出でて肉と為り、肉は窮まりて孔と為り、又た耳輪、準・鼻梁・頦頤等を主り、意に蔵る。経に曰く、夫れ頭高大なる者は、性は自在にして人を凌ぐを好む。頭卑弊なる者は、性は人に随いて細砕なり。故に曰く、鹿頭側長なれば、志気雄強。兔頭蔑頡なれば、意志下劣。獺頭横闊なれば心意豁達。夫れ頸細くして曲がる者は、自ら樹立せざるの人なり。若し色斑駁或いは潔浄ならざる者は、性は宜しきに随いて堅固ならず。夫れ手の繊長なる者は、施捨を好む。短厚なる者は、取るを好む。捨つるは則ち庶幾く、取るは則ち貪惜す。故に曰く、手、鶏足の如くんば、意智褊促。手、猪蹄の如くんば、志意昏迷。手、猴掌の如くんば、勤劬伎倆。夫れ背の厚闊なる者は剛決の人なり、薄き者は怯弱の人なり。夫れ腹の端妍なる者は、才華の人なり。故に曰く、牛腹婪貪なれば、財物自ずから淹る。蝦蟇腹なる者は懶人なり。夫れ腰の端美なる者は、則ち楽しみて能く人に任ず。蜥蜴腰なる者は緩人なり。夫れ臀髀厚広なる者は、任ず可く安穏の人なり。夫れ蛇行する者は含毒の人なり、之と事を共にす可からず。鳥行蹌蹌たるは、性行不良なり、鳥鵲の行くに似るなり。鷹行は雄烈。豺狼行なる者は、性麤にして利を覓むる人なり。牛行は性直なり。馬行は猛烈の人なり。〕
-
『長短経』察相毛髪光沢あり、唇口朱の如き者は、才能学芸の人なり。〔心は出でて舌と為り、又た血を主る。血は窮まりて毛髪と為り、耳に栄え、神に蔵る。経に曰く、野狐の鬢は信を期し難く、羖䍽の鬢は狐疑多し。唇急にして歯露わるれば、与に友と為り難し。唇寛く端正なれば、言を出だすに章有り。唇口佳ならざれば、言を出だすに信ならず。口辺に媚無ければ、好みて人の悪を揚ぐ。口喙、烏の如きは与に居る可からず、悪心の人なり。急緩、鳥の如く、言語皆な撮聚する者は、此の人は口舌多し。緩急同じからざるは、信少なき人なり。〕
-
『長短経』察相〔肝は出でて眼と為り、又た筋を主り、窮まりて爪と為り、眉に栄え、魂に蔵る。経に曰く、凡そ人、眉直くして頭昂れば、意気雄強なり。缺損及び薄きは、信無き人なり。弓の如き者は、善き人なり。眼に光彩有りて媚好なる者は、性は物理を識りて明哲なる人なり。眼光、瞼外に溢れ出でて、散ぜず動かず、瞼も又た急ならず緩ならずして、精の露われざる者は、智恵の人なり。瞼蹇縮し、精に光無き者は、愚鈍の人なり。眼光、瞼を出でざる者は、情を蔵する人なり。加うるに瞼渋りて盗み視れば、必ず賊を作すなり。
-
『長短経』察相鼻成就せず、準前に向かいて低きを四賤と為す。〔又た曰く、眇目斜視なるも、亦た四賤と為す。経に曰く、人中平満、耳に輪郭無きは、皆な貧賤の相なり。〕脚長く腰短きを五賤と為す。〔又た曰く、唇傾き鼻曲がるも、亦た五賤と為す。経に曰く、蛇行雀趨なれば、財物に儲え無し。鼻枉み薄ければ、立諾を主る。鼻頭低く垂るれば、老に至るまで独り吹く。腰を揺らし歩を急にすれば、必ず使う所無し。腰短き者は則ち人に職を奪わるるなり。〕文策成らず、唇細く横長きを六賤と為す。〔又た曰く、多言少信なるも、亦た六賤と為す。経に曰く、口薄ければ、人提携せず。僻側なれば、人の毀る所と為る。口、火を吹くが如くんば、老に至るまで独り坐す。舌色白きは下賤の人なり。舌短きは貧賤の人なり。凡そ人の是れ賤なるを知らんと欲せば、貴き処少なくして賤しき処多し。多しとは広きなり、少なしとは狭きなり。六賤備われば其れ僕隷の人と為るなり。〕此れ貴賤の骨骼に存する者なり。
-
『長短経』察相性霊を言う者は容止に存す。斯れ其の大体なり。夫れ人を相るには先ず其の面を視る。面に五岳四瀆有り。〔五岳とは、額を衡山と為し、頬頤を恒山と為し、鼻を嵩山と為し、左顴を泰山と為し、右顴を華山と為す。四瀆とは、鼻孔を済と為し、口を河と為し、目を淮と為し、耳を江と為す。五岳は聳峻円満ならんことを欲し、四瀆は深大にして崖岸成就せんことを欲す。五岳成る者は富人なり、豊かならざれば則ち貧なり。四瀆成る者は貴人なり、成らざれば則ち賤なり。〕
-
『長短経』察相点精、上に近き者は、志意下劣の人なり。点睛、下に近き者は志意高尚の人なり。点精、裏に近き者は自ら収斂する人なり。点精、外に近き者は傲慢憨なる人なり。羊目にして直視するは能く妻子を殺す。豬目にして応澄なれば刑禍相い仍る。鷹視狼顧は常に嫉妬を懐く。螻目蛄心は得難し。夫れ指は繊穠にして鵞の如くならんことを欲す。皮の相連なる有る者は、性淳和の人なり。指頭方懟なる者は、事を見ること遅き人なり。妍美なる者は、囑授すれば人之を信ず。悪しき者は、人遵承せざるなり。〕