長短経 / 察相
毛髪光澤、唇口如朱者、才能學藝人也。〔心出為舌、又主血。血窮為毛髪榮於耳、藏於神。《經》曰、野狐鬢、難期信、羖䍽鬢、多狐疑。唇急齒露、難與為友、唇寛端正、出言有章、唇口不佳、出言不信。口邊無媚、好揚人惡、口喙如烏不可與居、惡心人也。急緩如鳥、言語皆撮聚者、此人多口舌。緩急不同、少信人也。〕
新字:毛髪光沢、唇口如朱者、才能学芸人也。〔心出為舌、又主血。血窮為毛髪栄於耳、蔵於神。《経》曰、野狐鬢、難期信、羖䍽鬢、多狐疑。唇急歯露、難与為友、唇寛端正、出言有章、唇口不佳、出言不信。口辺無媚、好揚人悪、口喙如烏不可与居、悪心人也。急緩如鳥、言語皆撮聚者、此人多口舌。緩急不同、少信人也。〕
書き下し
毛髪光沢あり、唇口朱の如き者は、才能学芸の人なり。〔心は出でて舌と為り、又た血を主る。血は窮まりて毛髪と為り、耳に栄え、神に蔵る。経に曰く、野狐の鬢は信を期し難く、羖䍽の鬢は狐疑多し。唇急にして歯露わるれば、与に友と為り難し。唇寛く端正なれば、言を出だすに章有り。唇口佳ならざれば、言を出だすに信ならず。口辺に媚無ければ、好みて人の悪を揚ぐ。口喙、烏の如きは与に居る可からず、悪心の人なり。急緩、鳥の如く、言語皆な撮聚する者は、此の人は口舌多し。緩急同じからざるは、信少なき人なり。〕
現代語訳
髪につやがあり、唇と口が朱のようである者は、才能と学芸の人である。〔心は外に出て舌となり、また血をつかさどる。血は極まって髪となり、耳に栄え、神に蔵される。兵法書にこうある。野狐のような鬢は信用しがたく、羊のような鬢は疑い深い。唇がきつく歯が露わになっていれば、友となりがたい。唇がゆったりと端正であれば、言葉に筋がある。唇と口が良くなければ、言葉に信がない。口もとに愛嬌がなければ、好んで人の悪口を言う。口先が烏のようであれば一緒に住めない、悪意のある人である。速さと緩さが鳥のようで、言葉がすべてすぼまって集まる者は、口論の多い人である。緩急が一定しないのは、信の少ない人である。〕
解説
口もとの記述です。唇がきつく歯が露わになっていれば友となりがたい、という一項は、緊張して口が結べていない状態を指しているとも読めます。緩急が一定しないのは信が少ない、という最後の一句が実用的です。話す速さが場面ごとにばらばらな人は信用されにくい。落ち着いた一定の速度で話すことが信頼を作る、というのは今の話し方の指導とも一致します。
この章句が説くこと
察相口唇話し方緩急信
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