長短経 / 察相
〔論曰、堯睂八彩、舜目重瞳禹耳四漏、文王四乳、然則世人亦時有四乳者、此則駑馬一毛似驥也。若日角月偃之竒、龍棲虎踞之美、地静鎮於城垣天闢運於掌䇿、金槌玉枕、磊落相望、伏犀起蓋、隠轔交映。井宅既兼、倉匱已實。斯乃卿相之明效也。若深目長頸、頽顔蹙齃虵行鷙立、猳啄、鳥咮筋不束體、面無華色、手無春荑之柔、髪有寒蓬之悴、是則窮乏徴驗也。昔姑布子卿謂子貢曰、「鄭東門有一人、其長九尺六寸、河目而隆顙、其頭似堯、其項似臯陶、其肩似子產、然自腰以下不及禹三寸、儽然若喪家之狗。」河目謂上下匡而長也。顙、額也。漢髙隆凖而龍顏。凖鼻也。顔、額顙也。兩角為龍角、一角為犀角。言髙祖似龍兩睂顙骨髙而鼻上隆。魏陳留王豐下兌上、有堯圖之表。陳宣帝頸縝、貎若不惠。初賤時、楊忠見而竒之曰、「此人虎頭必當大貴。」後皆果然。此貴賤之效也。〕
新字:〔論曰、堯眉八彩、舜目重瞳禹耳四漏、文王四乳、然則世人亦時有四乳者、此則駑馬一毛似驥也。若日角月偃之奇、竜棲虎踞之美、地静鎮於城垣天闢運於掌策、金槌玉枕、磊落相望、伏犀起蓋、隠轔交映。井宅既兼、倉匱已実。斯乃卿相之明効也。若深目長頸、頽顔蹙齃虵行鷙立、猳啄、鳥咮筋不束体、面無華色、手無春荑之柔、髪有寒蓬之悴、是則窮乏徴験也。昔姑布子卿謂子貢曰、「鄭東門有一人、其長九尺六寸、河目而隆顙、其頭似堯、其項似皋陶、其肩似子産、然自腰以下不及禹三寸、儽然若喪家之狗。」河目謂上下匡而長也。顙、額也。漢高隆凖而竜顔。凖鼻也。顔、額顙也。両角為竜角、一角為犀角。言高祖似竜両眉顙骨高而鼻上隆。魏陳留王豊下兌上、有堯図之表。陳宣帝頸縝、貎若不恵。初賤時、楊忠見而奇之曰、「此人虎頭必当大貴。」後皆果然。此貴賤之効也。〕
書き下し
〔論じて曰く、堯の眉は八彩、舜の目は重瞳、禹の耳は四漏、文王は四乳。然らば則ち世人も亦た時に四乳なる者有り。此れ則ち駑馬の一毛の驥に似たるなり。日角月偃の奇、龍棲虎踞の美、地は静かに城垣に鎮まり、天は闢けて掌策に運り、金槌玉枕、磊落として相い望み、伏犀蓋を起こし、隠轔として交映するが若きは、井宅既に兼ね、倉匱已に実つ。斯れ乃ち卿相の明効なり。若し目深く頸長く、顔頽れ齃蹙まり、蛇行鷙立し、猳啄鳥咮にして、筋は体を束ねず、面に華色無く、手に春荑の柔無く、髪に寒蓬の悴有るは、是れ則ち窮乏の徴験なり。昔、姑布子卿、子貢に謂いて曰く「鄭の東門に一人有り、其の長は九尺六寸、河目にして隆顙、其の頭は堯に似、其の項は皋陶に似、其の肩は子産に似たり。然れども腰より以下は禹に及ばざること三寸、儽然として喪家の狗の若し」と。河目とは上下の匡にして長きを謂うなり。顙は額なり。漢高は隆準にして龍顔。準は鼻なり。顔は額顙なり。両角を龍角と為し、一角を犀角と為す。高祖の龍に似て両眉の顙骨高くして鼻上隆きを言うなり。魏の陳留王は下豊かに上兌く、堯図の表有り。陳の宣帝は頸縝にして、貌は恵からざるが若し。初め賤しき時、楊忠見て之を奇として曰く「此の人は虎頭なり、必ず当に大いに貴かるべし」と。後に皆な果たして然り。此れ貴賤の効なり。〕
現代語訳
〔論じていう。堯の眉は八色に彩られ、舜の目は瞳が二つあり、禹の耳には四つの穴があり、文王には乳が四つあった。しかし世間にも時に乳が四つある者がいる。これは駄馬の毛一本が駿馬に似ているようなものだ。日角や月偃の珍しい形、龍がすみ虎がうずくまるような美しさ、地は静かに城壁に鎮まり、天は開けて手のひらの策にめぐり、金槌骨や玉枕骨がごろごろと並び、伏犀が蓋のように起こって隠れながら照り映える、そういう者は、家屋敷をすでに兼ね備え、倉は満ちている。これこそ卿相の明らかなしるしである。もし目が落ちくぼみ首が長く、顔が崩れ鼻の付け根がすぼまり、蛇のように這い猛禽のように立ち、猿の口や鳥のくちばしのようで、筋が体を束ねず、顔に華やかな色がなく、手に春の若芽のような柔らかさがなく、髪に枯れたヨモギのようなやつれがあるなら、これは窮乏のしるしである。昔、姑布子卿が子貢に言った。「鄭の東門に一人いる。身の丈は九尺六寸、目は河のように長く額は高く、その頭は堯に似、うなじは皋陶に似、肩は子産に似ている。しかし腰から下は禹に三寸及ばず、げっそりとして宿なしの犬のようだ」。河目とは上下の枠が長いことをいう。顙は額である。漢の高祖は鼻が高く龍のような顔だった。準は鼻である。顔は額のことである。二本の角を龍角、一本の角を犀角という。高祖が龍に似て両眉の上の額の骨が高く鼻筋が高かったことを言う。魏の陳留王は下あごが豊かで上がすぼまり、堯の図のような表れがあった。陳の宣帝は首に筋が立ち、見た目は賢そうでなかった。まだ身分の低かったころ、楊忠が見て珍しいとして「この人は虎の頭だ。必ず大いに貴くなる」と言った。のちにみなそのとおりになった。これが貴賤のしるしである。〕
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『長短経』察相耳輪厚大、鼻準円実、乳頭端浄、頦頤深広厚大なる者は、忠信謹厚の人なり。〔脾は出でて肉と為り、肉は窮まりて孔と為り、又た耳輪、準・鼻梁・頦頤等を主り、意に蔵る。経に曰く、夫れ頭高大なる者は、性は自在にして人を凌ぐを好む。頭卑弊なる者は、性は人に随いて細砕なり。故に曰く、鹿頭側長なれば、志気雄強。兔頭蔑頡なれば、意志下劣。獺頭横闊なれば心意豁達。夫れ頸細くして曲がる者は、自ら樹立せざるの人なり。若し色斑駁或いは潔浄ならざる者は、性は宜しきに随いて堅固ならず。夫れ手の繊長なる者は、施捨を好む。短厚なる者は、取るを好む。捨つるは則ち庶幾く、取るは則ち貪惜す。故に曰く、手、鶏足の如くんば、意智褊促。手、猪蹄の如くんば、志意昏迷。手、猴掌の如くんば、勤劬伎倆。夫れ背の厚闊なる者は剛決の人なり、薄き者は怯弱の人なり。夫れ腹の端妍なる者は、才華の人なり。故に曰く、牛腹婪貪なれば、財物自ずから淹る。蝦蟇腹なる者は懶人なり。夫れ腰の端美なる者は、則ち楽しみて能く人に任ず。蜥蜴腰なる者は緩人なり。夫れ臀髀厚広なる者は、任ず可く安穏の人なり。夫れ蛇行する者は含毒の人なり、之と事を共にす可からず。鳥行蹌蹌たるは、性行不良なり、鳥鵲の行くに似るなり。鷹行は雄烈。豺狼行なる者は、性麤にして利を覓むる人なり。牛行は性直なり。馬行は猛烈の人なり。〕
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『長短経』察相夫れ人に六賤有り。頭小さく身大なるを一賤と為す。〔又た曰く、額角陥欠し、天中窪下なるも、亦た一賤と為す。経に曰く、額促まりて窄ければ、老に至るまで窮厄。蛇頸薄く曲がれば、糟糠も足らず。蛇頭平薄なれば、財物寥落。格頭尖鈍なれば、窮厄にして計無きなり。〕目に光沢無きを二賤と為す。〔又た曰く、胸背倶に薄きも、亦た二賤と為す。経に曰く、陥胸・薄尻及び猴目は、皆な窮相なり。〕
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『長短経』察相宋の孔熙光、姚生に就きて曰く「夫れ人を相るや、天は其の円きを欲し、地は其の方なるを欲し、眼は光曜たるを欲し、鼻は柱梁を須つ。四瀆は明らかならんことを欲し、五岳は強からんことを欲す。此の数者、君に一だに無し。又た君の眸子は、眽眽として望むが如く、羊行は委曲して歩を失い、声は嘶散して揚がらず。豈に唯だ其の福禄を失うのみならんや、将に乃ち其の禍殃に罹らんとす」と。後に皆な謀反して、之を殺さる。〕
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『長短経』察相点精、上に近き者は、志意下劣の人なり。点睛、下に近き者は志意高尚の人なり。点精、裏に近き者は自ら収斂する人なり。点精、外に近き者は傲慢憨なる人なり。羊目にして直視するは能く妻子を殺す。豬目にして応澄なれば刑禍相い仍る。鷹視狼顧は常に嫉妬を懐く。螻目蛄心は得難し。夫れ指は繊穠にして鵞の如くならんことを欲す。皮の相連なる有る者は、性淳和の人なり。指頭方懟なる者は、事を見ること遅き人なり。妍美なる者は、囑授すれば人之を信ず。悪しき者は、人遵承せざるなり。〕
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『長短経』察相龍に似る者は文吏と為る。〔龍に似る者は甚だ貴し。龍行なる者は三公と為るなり。〕虎に似る者は将軍と為る。〔虎行なる者は将軍と為る。駅馬の骨高きは、将軍と為るなり。〕牛に似る者は宰輔と為り、馬に似る者は武吏と為る。〔馬に似るも亦た甚だ貴きなり。〕狗に似る者は清官有りて、方伯と為る。〔猪に似猴に似る者は、大いに富貴なり。鼠に似る者は、惟だ富むのみ。凡そ似ると称する者は、動静並びに之に似るを謂う。若し偏えに一処に似るは、乃ち貧寒なる者なり。〕
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『長短経』察相若し務腧脥□なる者は、蛆嫉の人なり。急□夾なる者は、嫉妬せずんば則ち虚妄の人なり。盯睢眰血なる者は、悪性の人なり。□䀽矘晃なる者は、憨□の人なり。貼念䁠切珉□なる者は、淫乱の人なり。弥詞矒贈なる者は、姦詐の人なり。㶐澄抝巧巧なる者は、崛強の人なり。羊目□江瞳江なる者は、毒害の人なり。睢盱䀹爍なる者は、回邪の人なり。精色雑にして光彩浮浅なる者は、心意定まらず、信無き人なり。精清くして光溢るる者は、聡明の人なり。精沈みて光定まる者は、大胆の人なり。上目眥・下眥の中深厚にして、気色穠厚なる者は、威武有り亦た大胆の人なり。気色彯眇なるは、浅薄の人なり。土地潔からざる者は、威無く怯懦の人なり。精紫黒にして光彩端定なる者は、剛烈の人なり。精潔白にして端定なる者は、隠遁を好む人なり。精多く光ありて溢れ散ぜず、清澈にして視ること端審なる者は、直性の人なり。精黄にして光彩澄澈なる者は、道術を慕う人なり。