長短経 / 察相
成敗在於決斷。以此叅之、萬不失一。《經》曰、「言貴賤者、存乎骨骼、言脩短者、存乎虗實。」〔《經》曰、「夫人喘息者、命之所存也。喘息條條、狀長而緩者、長命人也、喘息急促、出入不等者、短命人也。」又曰、「骨肉堅硬、壽而不樂、體肉耎者、樂而不壽。」《左傳》曰、魯使襄仲如齊、復曰、「臣聞齊人將食魯之麥。以臣觀之、將不能。齊君之語偷。臧文仲有言曰、『人主偷、必死。』」後果然。
新字:成敗在於決断。以此叅之、万不失一。《経》曰、「言貴賤者、存乎骨骼、言脩短者、存乎虚実。」〔《経》曰、「夫人喘息者、命之所存也。喘息条条、状長而緩者、長命人也、喘息急促、出入不等者、短命人也。」又曰、「骨肉堅硬、寿而不楽、体肉耎者、楽而不寿。」《左伝》曰、魯使襄仲如斉、復曰、「臣聞斉人将食魯之麦。以臣観之、将不能。斉君之語偸。臧文仲有言曰、『人主偸、必死。』」後果然。
書き下し
成敗は決断に在り。此を以て之を参すれば、万に一を失わず。経に曰く「貴賤を言う者は骨骼に存し、脩短を言う者は虚実に存す」と。〔経に曰く「夫れ人の喘息なる者は、命の存する所なり。喘息条条として、状は長くして緩なる者は、長命の人なり。喘息急促にして、出入等しからざる者は、短命の人なり」と。又た曰く「骨肉堅硬なれば、寿にして楽しまず。体肉耎なる者は、楽しみて寿ならず」と。左伝に曰く、魯、襄仲をして斉に如かしむ。復命して曰く「臣聞く、斉人将に魯の麦を食わんとすと。臣の之を観るに、将に能わざらん。斉君の語は偸し。臧文仲に言える有り、人主偸なれば必ず死すと」。後に果たして然り。
現代語訳
成敗は決断にある。これを合わせて考えれば、万に一つも外さない。兵法書にこうある。「貴賤を言うなら骨格にあり、寿命の長短を言うなら虚実にある」。〔兵法書にこうある。「人の呼吸は、命の宿るところである。呼吸がのびやかで、長くゆるやかな者は長命の人である。呼吸が急ですぼまり、出入りが揃わない者は短命の人である」。またこうある。「骨と肉が堅く硬ければ、長生きするが楽しまない。体の肉が柔らかい者は、楽しむが長生きしない」。左伝にこうある。魯が襄仲を斉へ遣わした。帰って報告した。「私が聞くところでは、斉の人は魯の麦を食おうとしているとのことです。しかし私が見たところ、それはできないでしょう。斉君の言葉には気力がありません。臧文仲の言葉に、君主に気力がなければ必ず死ぬ、とあります」。のちに果たしてそのとおりになった。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『長短経』察相夫れ命と相とは、猶お声と響きとのごときなり。声は幾に動き、響きは応に窮まる。必然の理なり。言を以て行を信ずるは宰予に之を失い、貌を以て性を度るは子羽に之を失うと云うと雖も、然れども伝に称す「憂い無くして戚めば、憂い必ず之に及ぶ。慶び無くして歓べば、楽しみ必ず之を還す」と。此れ心に先ず動く有りて神に先ず知る有れば、則ち色に先ず見わるる有り。故に扁鵲は桓公を見て、其の将に亡びんとするを知る。申叔は巫臣を見て、其の妻を竊むを知る。或いは馬を躍らせ珍を膳し、或いは飛びて肉を食らい、或いは早くは隷にして晩くは侯たり、或いは初めは刑せられ末には王たり。銅巌も以て生を飽かしむる無く、玉饌も餓死に終わる。則ち彼の表を度り骨を捫し、色を指し理を摘むこと、誣う可からざるなり。故に列すること云爾。
-
『長短経』察相又た曰く「晋の韓宣子、斉に如き、子雅に見ゆ。子雅、其の子子旗を召して、宣子に見えしむ。宣子曰く『家を保つの主に非ざるなり、臣たらず』」と。杜預曰く「子雅の志器の亢ぶるを言うなり」と。後十年、来奔す。周の霊王の弟儋季卒す。其の子括、将に王に見えんとして歎ず。単公子愆期、其の歎を聞くや、入りて以て王に告げて曰く「戚しまずして大を願い、視は躁がしくして足は高し。心は他に在り。殺さずんば必ず害を為さん」と。王曰く「童子何をか知らん」と。霊王崩ずるに及び、儋括は王子佞夫を立てんと欲す。周の大夫、佞夫を殺す」と。
-
『長短経』察相天王、単子をして韓宣子に戚に会せしむ。視は下り言は徐かなり。叔向曰く「単子は其れ将に死せんとするか。朝に著有り、定会に表有り、衣に襘有り、帯に結有り。会朝の言は、必ず表著の位に聞こゆ、事の序を昭らかにする所以なり。視は結・襘の中を過ぎず、容貌を導く所以なり。言は以て之を定め、容貌は以て之を明らかにす。失すれば則ち闕有り。今、単子は王官の伯と為りて事を会に命ず。視は帯に登らず、言は歩を過ぎず、貌は容を導かず、而して言は昭らかならず。導かざるは恭ならず、昭らかならざるは従わず、守気無し」と。此の冬、単子卒す。宋の平公、昭子を享す。晏飲楽しみ、語りて相泣く。楽祁佐たり。退きて人に告げて曰く「今茲、君と叔孫と其れ将に死せんとするか。吾れ之を聞く、哀しみに楽しみ楽しみに哀しむは、皆な心を喪うなり。心の精爽、是れを魂魄と謂う。魂魄之を去らば、何を以て能く久しからん」と。此の年、叔孫・宋公皆な卒す。
-
『長短経』察相耳輪厚大、鼻準円実、乳頭端浄、頦頤深広厚大なる者は、忠信謹厚の人なり。〔脾は出でて肉と為り、肉は窮まりて孔と為り、又た耳輪、準・鼻梁・頦頤等を主り、意に蔵る。経に曰く、夫れ頭高大なる者は、性は自在にして人を凌ぐを好む。頭卑弊なる者は、性は人に随いて細砕なり。故に曰く、鹿頭側長なれば、志気雄強。兔頭蔑頡なれば、意志下劣。獺頭横闊なれば心意豁達。夫れ頸細くして曲がる者は、自ら樹立せざるの人なり。若し色斑駁或いは潔浄ならざる者は、性は宜しきに随いて堅固ならず。夫れ手の繊長なる者は、施捨を好む。短厚なる者は、取るを好む。捨つるは則ち庶幾く、取るは則ち貪惜す。故に曰く、手、鶏足の如くんば、意智褊促。手、猪蹄の如くんば、志意昏迷。手、猴掌の如くんば、勤劬伎倆。夫れ背の厚闊なる者は剛決の人なり、薄き者は怯弱の人なり。夫れ腹の端妍なる者は、才華の人なり。故に曰く、牛腹婪貪なれば、財物自ずから淹る。蝦蟇腹なる者は懶人なり。夫れ腰の端美なる者は、則ち楽しみて能く人に任ず。蜥蜴腰なる者は緩人なり。夫れ臀髀厚広なる者は、任ず可く安穏の人なり。夫れ蛇行する者は含毒の人なり、之と事を共にす可からず。鳥行蹌蹌たるは、性行不良なり、鳥鵲の行くに似るなり。鷹行は雄烈。豺狼行なる者は、性麤にして利を覓むる人なり。牛行は性直なり。馬行は猛烈の人なり。〕
-
『長短経』察相鼻孔小さく縮み、準頭低く曲がる者は、慳吝の人なり。〔肺は出でて鼻孔と為り、又た皮膚を主り、又た気息と為り、魄に蔵る。鼻好き者は、声誉有り。鼻柱薄くして梁陥る者は、病厄多き人なり。鼻に媚無きは、憨惷の人なり。蜣蜋鼻は、意智少なき人なり。〕耳孔小さく、歯瓣細き者は、邪諂姦佞の人なり。〔腎は出でて骨と為り、又た髄を主る。髄は窮まりて耳孔と為り、骨は窮まりて歯と為り、志に蔵る。経に曰く、耳亢く深広なる者は、心虚にして玄を識る。耳孔醜小なる者は、智無くして神理を信ぜず。耳辺に媚無きは鄙拙の人なり。耳孔小さくして節骨曲戻する者は、意智無き人なり。老鼠耳なる者は、人を殺して死せず。又た云う、鼠耳の人は、多く偸盗を作す者なり。〕
-
『長短経』察相邾の隠公来朝す。玉を執ること高く、其の容は仰ぐ。魯公、玉を受くること卑しく、其の容は俯す。子貢曰く「礼を以て之を観れば、二君は皆な死亡有らん。高く仰ぐは驕なり、卑しく俯すは替なり。驕は乱に近く、替は疾に近し。君は主たり、其れ先ず亡びんか」と。此の年、公薨ず。哀公七年、邾子益を以て帰る。衛侯、呉に鄖に会す。呉人、衛侯の舎を藩す。子貢、太宰嚭に説きて之を免る。衛侯帰りて、夷言を効う。子の之、尚お幼くして曰く「君は必ず免れじ。其れ夷に死せんか。執えられて又た其の言を説ぶ、之に従うこと固し」と。後に卒に楚に死す。