長短経 / 知人
五質恒性、故謂之五常。故曰、直而不柔則木、〔木强徼訐、失其正色。〕勁而不精則力、〔負鼎絶髕、失其正勁。〕固而不端則愚、〔惠己自是、陷於愚戅〕氣而不清則越、〔辭不清順、發越無成。〕暢而不平則蕩。〔好智無涯、蕩然失已〕
新字:五質恒性、故謂之五常。故曰、直而不柔則木、〔木強徼訐、失其正色。〕勁而不精則力、〔負鼎絶髕、失其正勁。〕固而不端則愚、〔恵己自是、陥於愚戅〕気而不清則越、〔辞不清順、発越無成。〕暢而不平則蕩。〔好智無涯、蕩然失已〕
書き下し
五質は恒性なり、故に之を五常と謂う。故に曰く、直にして柔ならざれば則ち木。〔木強にして徼訐、其の正色を失う。〕勁にして精ならざれば則ち力。〔鼎を負い髕を絶つ、其の正勁を失う。〕固くして端ならざれば則ち愚。〔己を恵み自ら是とし、愚戇に陥る。〕気あって清からざれば則ち越。〔辞は清順ならず、発越して成る無し。〕暢にして平らかならざれば則ち蕩。〔智を好みて涯無く、蕩然として己を失う。〕
現代語訳
五つの素質は変わらない本性である。だからこれを五常という。だからこう言う。まっすぐでも柔らかさがなければ、ただの木石である。〔木のように強張って人をあばき、本来の正しい色を失う。〕強くても精妙さがなければ、ただの力である。〔鼎を持ち上げて膝の皿を割るように、本来の正しい強さを失う。〕固くても端正さがなければ、ただの愚かである。〔自分を甘やかして自分が正しいとし、愚鈍に陥る。〕気があっても清らかでなければ、ただの上ずりである。〔言葉が清く順でなく、上ずって何も成らない。〕のびやかでも平らかでなければ、ただの放蕩である。〔知恵を好んで際限がなく、放縦になって自分を失う。〕
解説
前段で挙げた五つの素質から、対になる要素が抜けた場合を並べます。まっすぐさから柔らかさが抜けると、ただの石頭になる。強さから精妙さが抜けると、鼎を持ち上げて膝を割る力自慢になる。どれも徳の一歩手前で止まった姿です。美点が単独では機能せず、必ず対になる要素を要求するという構造が示されています。正義感の強い人に柔らかさが欠けると人をあばくだけになる、というのは今もよく見る光景です。
この章句が説くこと
人物鑑識人物志五常偏り柔精
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