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茶の本 / 第六章 花・花はわれらの不断の友

喜びにも悲しみにも、花はわれらの不断の友である。花とともに飲み、共に食らい、共に歌い、共に踊り、共に戯れる。花を飾って結婚の式をあげ、花をもって命名の式を行なう。花がなくては死んでも行けぬ。百合の花をもって礼拝し、蓮の花をもって冥想に入り、ばらや菊花をつけ、戦列を作って突撃した。さらに花言葉で話そうとまで企てた。花なくてどうして生きて行かれよう。花を奪われた世界を考えてみても恐ろしい。病める人の枕べに非常な慰安をもたらし、疲れた人々の闇の世界に喜悦の光をもたらすものではないか。その澄みきった淡い色は、ちょうど美しい子供をしみじみながめていると失われた希望が思い起こされるように、失われようとしている宇宙に対する信念を回復してくれる。われらが土に葬られる時、われらの墓辺を、悲しみに沈んで低徊するものは花である。

書き下し

喜びにも悲しみにも、花はわれらの不断の友である。花とともに飲み、共に食らい、共に歌い、共に踊り、共に戯れる。花を飾って結婚の式をあげ、花をもって命名の式を行なう。花がなくては死んでも行けぬ。百合の花をもって礼拝し、蓮の花をもって冥想に入り、ばらや菊花をつけ、戦列を作って突撃した。さらに花言葉で話そうとまで企てた。花なくてどうして生きて行かれよう。花を奪われた世界を考えてみても恐ろしい。病める人の枕べに非常な慰安をもたらし、疲れた人々の闇の世界に喜悦の光をもたらすものではないか。その澄みきった淡い色は、ちょうど美しい子供をしみじみながめていると失われた希望が思い起こされるように、失われようとしている宇宙に対する信念を回復してくれる。われらが土に葬られる時、われらの墓辺を、悲しみに沈んで低徊するものは花である。

現代語訳

喜びにも悲しみにも、花は私たちの絶えることのない友です。花とともに飲み、ともに食べ、ともに歌い、ともに踊り、ともに戯れます。花を飾って結婚の式をあげ、花をもって命名の式を行います。花がなくては死んでも行けません。百合の花で礼拝し、蓮の花で瞑想に入り、薔薇や菊をつけ、戦列を作って突撃しました。さらに花言葉で話そうとまで企てました。花なしでどうして生きていけるでしょう。花を奪われた世界を考えるだけでも恐ろしい。病む人の枕辺に大きな慰めをもたらし、疲れた人の闇の世界に喜びの光をもたらすものではありませんか。その澄みきった淡い色は、ちょうど美しい子供をしみじみと眺めていると失われた希望が思い起こされるように、失われようとしている宇宙への信念を回復してくれます。私たちが土に葬られるとき、墓のほとりを悲しみに沈んでさまようのは花です。

解説

人の一生に花がどれだけ関わるかが列挙されます。結婚、命名、礼拝、瞑想、戦争、そして葬送。生まれてから死んで埋められた後まで、花が付き添っている。薔薇や菊をつけて突撃したというのは、薔薇戦争や家紋の意匠を指します。最後の一文が美しい。墓のほとりをさまようのは花である。人がいなくなった後も残るものとして花が置かれ、次の段の残酷な現実への落差が用意されます。

この章句が説くこと

一生慰め儀礼希望

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