茶の本 / 第四章 茶室・生花があれば草花の絵は許されぬ
室の装飾に用いる種々な物は色彩意匠の重複しないように選ばなければならぬ。生花があれば草花の絵は許されぬ。丸い釜を用いれば水さしは角張っていなければならぬ。黒釉薬の茶わんは黒塗りの茶入れとともに用いてはならぬ。香炉や花瓶を床の間にすえるにも、その場所を二等分してはならないから、ちょうどそのまん中に置かぬよう注意せねばならぬ。少しでも室内の単調の気味を破るために、床の間の柱は他の柱とは異なった材木を用いねばならぬ。
書き下し
室の装飾に用いる種々な物は、色彩意匠の重複しないように選ばなければならぬ。生花があれば草花の絵は許されぬ。丸い釜を用いれば、水さしは角張っていなければならぬ。黒釉薬の茶わんは、黒塗りの茶入れとともに用いてはならぬ。香炉や花瓶を床の間にすえるにも、その場所を二等分してはならないから、ちょうどそのまん中に置かぬよう注意せねばならぬ。少しでも室内の単調の気味を破るために、床の間の柱は他の柱とは異なった材木を用いねばならぬ。
現代語訳
部屋の装飾に用いるさまざまな物は、色彩や意匠が重複しないように選ばなければなりません。生けた花があれば草花の絵は許されません。丸い釜を用いれば、水差しは角張っていなければなりません。黒い釉薬の茶碗は、黒塗りの茶入れと一緒に用いてはなりません。香炉や花瓶を床の間に据えるにも、その場所を二等分してはならないので、ちょうど真ん中に置かないよう注意しなければなりません。少しでも室内の単調さを破るために、床の間の柱は他の柱とは異なる材木を用いなければなりません。
解説
重複を避ける原則が、具体的な禁則として並びます。生花と草花の絵は同席させない、丸い釜には角の水差し、黒には黒を合わせない、真ん中に置かない、床の間の柱は別の材にする。抽象的な美学が、守れば誰でも実行できる規則に落ちています。思想を作法に変換した例で、この変換ができるかどうかが、文化が広まるかどうかを決めます。
この章句が説くこと
配合規則重複床の間実務
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