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茶の本 / 第四章 茶室・払い清めるには術を要する

日中でも室内の光線は和らげられている。傾斜した屋根のある低いひさしは日光を少ししか入れないから。天井から床に至るまですべての物が落ち着いた色合いである。客みずからも注意して目立たぬ着物を選んでいる。古めかしい和らかさがすべての物に行き渡っている。ただ清浄無垢な白い新しい茶筅と麻ふきんが著しい対比をなしているのを除いては、新しく得られたらしい物はすべて厳禁せられている。茶室や茶道具がいかに色あせて見えてもすべての物が全く清潔である。部屋の最も暗いすみにさえ塵一本も見られない。もしあるようならばその主人は茶人とはいわれないのである。茶人に第一必要な条件の一は掃き、ふき清め、洗うことに関する知識である、払い清めるには術を要するから。金属細工はオランダの主婦のように無遠慮にやっきとなってはたいてはならない。花瓶からしたたる水はぬぐい去るを要しない、それは露を連想させ、涼味を覚えさせるから。

書き下し

日中でも室内の光線は和らげられている。傾斜した屋根のある低いひさしは日光を少ししか入れないから。天井から床に至るまで、すべての物が落ち着いた色合いである。客みずからも注意して目立たぬ着物を選んでいる。古めかしい和らかさがすべての物に行き渡っている。ただ清浄無垢な白い新しい茶筅と麻ふきんが著しい対比をなしているのを除いては、新しく得られたらしい物はすべて厳禁せられている。茶室や茶道具がいかに色あせて見えても、すべての物が全く清潔である。部屋の最も暗いすみにさえ塵一本も見られない。もしあるようならばその主人は茶人とはいわれないのである。茶人に第一必要な条件の一は、掃き、ふき清め、洗うことに関する知識である、払い清めるには術を要するから。金属細工はオランダの主婦のように無遠慮にやっきとなってはたいてはならない。花瓶からしたたる水はぬぐい去るを要しない、それは露を連想させ、涼味を覚えさせるから。

現代語訳

日中でも室内の光は和らげられています。傾いた屋根の低い庇は日光を少ししか入れないからです。天井から床にいたるまで、すべてが落ち着いた色合いです。客自身も気をつけて目立たない着物を選んでいます。古びた柔らかさがすべてに行き渡っています。ただ清らかで無垢な白い新しい茶筅と麻の布巾が著しい対比をなしているのを除いて、新しく手に入れたと見えるものはすべて厳しく禁じられています。茶室や茶道具がどれほど色あせて見えても、すべてがまったく清潔です。部屋のもっとも暗い隅にさえ塵ひとつ見られません。もしあるようなら、その主人は茶人とは言われないのです。茶人にまず必要な条件の一つは、掃き、拭き清め、洗うことについての知識です。払い清めるには術が要るからです。金属細工はオランダの主婦のように無遠慮にやっきとなって叩いてはなりません。花瓶から滴る水は拭き取る必要がありません。それは露を連想させ、涼しさを覚えさせるからです。

解説

古びていることと汚れていることの区別が、厳格に示されます。すべてが色あせているのに塵ひとつない。新しいものは禁じられるが、茶筅と布巾だけは真新しい白でなければならない。この一点の例外が、全体の古びを引き立てます。そして最後が味わい深い。花瓶から滴る水は拭かない、露を思わせるから。どこを清め、どこを残すかを判断できることが術だという、掃除を技術として捉えた一段です。

この章句が説くこと

清潔古び掃除例外

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