茶の本 / 第一章 人情の碗・互いに長短相補わない道理はない
東西両大陸が互いに奇警な批評を飛ばすことはやめにして、東西互いに得る利益によって、よし物がわかって来ないとしても、お互いにやわらかい気持ちになろうではないか。お互いに違った方面に向かって発展して来ているが、しかし互いに長短相補わない道理はない。諸君は心の落ちつきを失ってまで膨張発展を遂げた。われわれは侵略に対しては弱い調和を創造した。諸君は信ずることができますか、東洋はある点で西洋にまさっているということを!
書き下し
東西両大陸が互いに奇警な批評を飛ばすことはやめにして、東西互いに得る利益によって、よし物がわかって来ないとしても、お互いにやわらかい気持ちになろうではないか。お互いに違った方面に向かって発展して来ているが、しかし互いに長短相補わない道理はない。諸君は心の落ちつきを失ってまで膨張発展を遂げた。われわれは侵略に対しては弱い調和を創造した。諸君は信ずることができますか、東洋はある点で西洋にまさっているということを。
現代語訳
東西の両大陸が互いに気の利いた皮肉を飛ばすのはやめにして、東西が互いに得る利益によって、たとえ理解が進まないとしても、せめて互いに柔らかい気持ちになろうではありませんか。互いに異なる方向へ発展してきましたが、長所と短所を補い合えない道理はありません。皆さんは心の落ち着きを失ってまで膨張と発展を遂げました。私たちは、侵略に対しては弱い調和を作り出しました。皆さんは信じられますか、東洋がある点では西洋にまさっているということを。
解説
応酬をやめようと呼びかけつつ、双方の短所を一行ずつ並べます。西洋は落ち着きを失ってまで膨張した、東洋は侵略に弱い調和を作った。自国側の弱さもはっきり書いているのが公平です。そして最後は問いで終わる。信じられますか、と読者に投げたまま答えを示さない。説得ではなく疑いを差し出す形で、この章の議論がいったん開かれたままになります。
この章句が説くこと
東西補完調和膨張相互
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