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文武訓 / 武訓上

一事の行ひて宜しききはを思ひきり、いさみてよくつとむれば、義行はれてあやまりなく後悔なし。かゝる事のさかひのきはを、心おこたりゆるびてつとめざれば、不義となりおくれとなり、後悔すれどもかひなし。是義を見てせざるは勇なきなり。

書き下し

一事の行ひて宜しききはを思ひきり、いさみてよくつとむれば、義行はれてあやまりなく後悔なし。かかる事のさかひのきはを、心おこたりゆるびてつとめざれば、不義となりおくれとなり、後悔すれどもかひなし。是義を見てせざるは勇なきなり。

現代語訳

物事を行うのによい際(きわ)を思い切り、勇んでよく努めれば、義が行われて誤りがなく、後悔もありません。このような事の境目の際を、心が怠りゆるんで努めなければ、不義となり、遅れとなり、後悔してもかいがありません。これが「義を見てせざるは勇なきなり」ということです。

解説

武訓上の結びで、『論語』為政篇の名高い言葉「義を見てせざるは勇なきなり」を解説します。益軒は、行うべき時の見極めがついたら思い切って勇んで行えば、義にかなって後悔しないが、その境目で気がゆるんでためらうと、不義となり後れを取り、あとで悔やんでも遅いと言います。勇気とは乱暴な強さではなく、正しいと分かったことをためらわず実行する力だというのが、武訓全体の結論です。日々の小さな決断にも通じる教えです。

この章句が説くこと

義勇決断論語後悔

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