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武家家訓集 / 毛利元就三子教訓状十一歳で受けた念仏

一我等十一之年、土居に候つるに、井上古河內守所へ客僧一人來候て、念佛之大事を受候とて催候、然間大方殿御出候而御保候、我等も同前に十一歲にて傳受候而、是と當年之今に至まて、毎朝多分咒候、此儀は朝日をおがみ申候て、念佛十篇づゝとなへ候ば、後生之儀者不及申、今生祈禱此事たるべきよし受候つる、又我々故實に今生のねがひをも御日え申候、もし〱かやうの事、一身之守と成候やとあまりの事に思ひ候、左候間、御三人之事も、毎朝是を御行候へかしと存候〱、日月いづれも同前たるべく候哉〱、

新字:一我等十一之年、土居に候つるに、井上古河内守所へ客僧一人来候て、念仏之大事を受候とて催候、然間大方殿御出候而御保候、我等も同前に十一歳にて伝受候而、是と当年之今に至まて、毎朝多分咒候、此儀は朝日をおがみ申候て、念仏十篇づゝとなへ候ば、後生之儀者不及申、今生祈祷此事たるべきよし受候つる、又我々故実に今生のねがひをも御日え申候、もし〱かやうの事、一身之守と成候やとあまりの事に思ひ候、左候間、御三人之事も、毎朝是を御行候へかしと存候〱、日月いづれも同前たるべく候哉〱、

書き下し

一我等十一之年、土居に候つるに、井上古河內守所へ客僧一人來候て、念佛之大事を受候とて催候、然間大方殿御出候而御保候、我等も同前に十一歲にて傳受候而、是と當年之今に至まて、毎朝多分咒候、此儀は朝日をおがみ申候て、念佛十篇づゝとなへ候ば、後生之儀者不及申、今生祈禱此事たるべきよし受候つる、又我々故實に今生のねがひをも御日え申候、もし〱かやうの事、一身之守と成候やとあまりの事に思ひ候、左候間、御三人之事も、毎朝是を御行候へかしと存候〱、日月いづれも同前たるべく候哉〱、

現代語訳

私が十一歳のとき、土居にいたころ、井上古河内守のところへ客僧が一人来て、念仏の大事を授けると言って勧めた。そこで大方殿がお出でになってお勧めになり、私も同様に十一歳で伝授を受け、それから今年に至るまで、毎朝おおかた唱えている。これは朝日を拝み、念仏を十遍ずつ唱えれば、後生はもちろん、今生の祈禱もこれにあたる、と受けたものである。また私は自分なりの故実として、今生の願いも日に向かって申す。もしやこのようなことが一身の守りとなるのかと、あまりのことに思うほどである。そこで、お三人もこれを毎朝行ってほしいと思う。日月はいずれも同じことであろうか。

解説

元就が十一歳で念仏の大事を授かり、毎朝、朝日を拝んで念仏を十遍ずつ唱えてきたことを語り、三人にも勧める条です。後生だけでなく、今生の祈禱にもなると受けたと述べ、自分でも今生の願いを日に向かって申しています。これが一身の守りになったかもしれない、とやや控えめに書いている点も印象的です。長く続けてきた習慣を、命じるのでなく、そのまま伝えて勧める形です。現代では、経営者が日々続けている朝の習慣や、心を整える儀式を、後継者と共有することにあたります。続けた実績が、教えの説得力になります。

この章句が説くこと

習慣朝の儀式信仰継続心を整える武家家訓集

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