武家家訓集 / 朝倉敏景十七箇条第十五条
一當家壘館の外、必國中に城郭を構させらる間敷候、惣て大身の輩をば、悉く一乘の谷へ引越しめて、其鄕其村には、只代官下司のみ可被居置事、
新字:一当家塁館の外、必国中に城郭を構させらる間敷候、惣て大身の輩をば、悉く一乗の谷へ引越しめて、其郷其村には、只代官下司のみ可被居置事、
書き下し
一、當家の壘館の外、必ず國中に城郭を構へさせらるまじく候。惣て大身の輩をば、悉く一乘の谷へ引き越さしめて、其の鄕其の村には、只だ代官下司のみ居き置かるべき事、
現代語訳
当家の居城や館のほかには、決して国中に城郭を構えさせてはならない。すべて大身の者たちは、ことごとく一乗谷へ引っ越させて、その郷、その村には、ただ代官や下司だけを置いておくこと。
解説
第十五条は、朝倉の居館以外に領内で城郭を築かせず、大身の家臣をみな一乗谷へ引き移らせ、在所には代官と下司だけを置く、と定めます。有力家臣が地元に根を張り、自分の城で力を持つことを防ぎ、主家の膝元に集める集権の策です。家臣を一乗谷に集めて住まわせる条として知られます。現代の組織に引き寄せれば、拠点や部門が独立した小さな城になって情報や権限が囲い込まれるのを防ぎ、重要な意思決定を本部で共有する設計に通じます。一方で、現場から離れる欠点もあり、第十四条の巡検とセットで読むと釣り合いが取れます。
この章句が説くこと
集権権限の囲い込み一乗谷拠点管理家臣団武家家訓集
関連する章句
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「結びの訓」右の條々、能く能く服膺し、晝夜相勤めて、永く子孫に貽厥せらるべく候。諸事内方を謹厚に沙汰し候へば、他國の惡黨は邪魔せぬものなり云々、
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第一条」一、朝倉の家に於いて、宿老を定むべからず、其の身の器用忠節によりて申し付くべきの事、
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第二条」一、代々持ち來り候などとて、無器用の人に、國幷びに奉行職を預けらるまじき事、
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「追書(役人の私と他国の悪党)」一、諸沙汰在所の時、理非少しも曲げらるまじく候。もし役人わたくしも致し候由聞き及ばれ候はば、同罪に堅く申し付けらるべく候。しよちうつろをぎんみ申し候沙汰致し候へば、他国の悪党出でぬものなり。みだりがはしき所と知られ候へば、他家より手を入るるものにて候。
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第十六条」一、神社佛閣幷びに町屋等を通られんごときは、少々馬を留めて、奇麗なるをば聊か稱美し、破損せるをば稍く惠憐の詞をも加へられ候はば、到らぬ者共は、御詞を懸りたるなどとて、歎抃に挑ずして、惡きをば早く改め、能きは彌々嗜むべく候か。然れば造作も入らずして、見事に持ち成す事も、專ら主君の一心に依るべく候事、
-
『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第十四条」一、年中に三箇度ばかり、器用正直ならん者に申し付け、國をめぐらせ、四民の口謌を聞き、其の沙汰致さるべく候。少々形を引き替へて、自身巡檢も然るべき事、
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る