墨子 / 雜守
凡待煙、衝、雲梯、臨之法,必廣城以禦之。曰不足,則以木椁之。左百步,右百步,䌓下矢石、沙炭以雨之,薪火、水湯以濟之。選厲鋭卒,慎無使顧,賞審行罰,以静為故,從之以急,無使主慮,恚髙憤,民心百倍,多執數賞,卒不乃怠。衝、臨、梯皆以衝衝之。渠長丈五尺,具理者三尺,矢長丈二尺。渠廣丈六尺,其弟丈二尺,渠之垂者四尺,樹渠無傳葉五寸。梯渠十丈一。梯渠、答大數,里二百五十八渠,答百二十九。諸外道可要塞以難寇,其甚害者為築三亭,亭三隅,織女之,令能相救。諸詎阜、山林、溝瀆、丘陵、阡陌、郭門若閻術,可要塞,及為幑幟可以迹知往來者少多及所伏蔵之䖏。
新字:凡待煙、衝、雲梯、臨之法,必広城以禦之。曰不足,則以木椁之。左百歩,右百歩,䌓下矢石、沙炭以雨之,薪火、水湯以済之。選厲鋭卒,慎無使顧,賞審行罰,以静為故,従之以急,無使主慮,恚高憤,民心百倍,多執数賞,卒不乃怠。衝、臨、梯皆以衝衝之。渠長丈五尺,具理者三尺,矢長丈二尺。渠広丈六尺,其弟丈二尺,渠之垂者四尺,樹渠無伝葉五寸。梯渠十丈一。梯渠、答大数,里二百五十八渠,答百二十九。諸外道可要塞以難寇,其甚害者為築三亭,亭三隅,織女之,令能相救。諸詎阜、山林、溝瀆、丘陵、阡陌、郭門若閻術,可要塞,及為幑幟可以迹知往来者少多及所伏蔵之䖏。
書き下し
凡そ煙・衝・雲梯・臨を待つの法は、必ず城を廣くして以て之を禦ぐ。曰く、足らずんば、則ち木を以て之を椁す。左百步、右百步、䌓く矢石・沙炭を下して以て之に雨ふらし、薪火・水湯を以て之を濟う。鋭卒を選び厲まし、慎んで顧みしむる無かれ。賞を審らかにし罰を行い、静を以て故と為し、之に從うに急を以てし、主をして慮らしむる無かれ。恚み髙く憤れば、民心、百倍す。多く執りて數しば賞すれば、卒、乃ち怠らず。衝・臨・梯は、皆な衝を以て之を衝つ。渠の長さ丈五尺、理を具うる者三尺、矢の長さ丈二尺。渠の廣さ丈六尺、其の弟丈二尺、渠の垂るる者四尺、渠を樹つるに傳葉五寸無し。梯渠は十丈に一つ。梯渠・答の大數は、里ごとに二百五十八渠、答百二十九。諸そ外道の要塞して以て寇を難む可き者、其の甚だ害ある者は三亭を築くを為し、亭は三隅、之を織女し、能く相い救わしむ。諸そ詎阜・山林・溝瀆・丘陵・阡陌・郭門若しくは閻術の要塞す可き、及び幑幟を為して以て往來する者の少多及び伏し蔵るる所の處を迹知す可し。
現代語訳
およそ煙攻め、衝車、雲梯、見下ろし櫓を迎え撃つ法では、必ず城を広くして防ぐ。足りなければ木で囲う。左に百歩、右に百歩、しきりに矢と石と砂と炭を降らせ、薪の火と熱湯で応じる。精鋭を選んで励まし、慎んで後ろを振り返らせない。賞を明らかにし罰を行い、静かであることを基本とし、動くときは急がせ、主君に心配をかけない。怒りが高まり奮い立てば、民の心は百倍になる。多く取り立ててしばしば賞すれば、兵は怠らない。衝車も見下ろし櫓も雲梯も、みな衝で突く。柵の長さは一丈五尺、整える部分は三尺、矢の長さは一丈二尺。柵の幅は一丈六尺、その次は一丈二尺、柵の垂れる部分は四尺、柵を立てるときは五寸の張り出しを設けない。梯柵は十丈ごとに一つ。梯柵と覆いの総数は、一里につき柵が二百五十八、覆いが百二十九。外の道で要所を押さえて敵を阻めるところ、特に害の大きいところには三つの亭を築き、亭は三隅に置いて互いに結び、助け合えるようにする。丘、山林、溝、丘陵、あぜ道、外郭の門や路地で要所を押さえられるところ、また印の旗を立てて、行き来する者の多少や、伏せ隠れている場所を痕跡から知ることができる。
解説
この章句が説くこと
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『墨子』兼愛下且つ鄉に吾が本と言えらく、仁人の事は、必ず務めて天下の利を興し、天下の害を除かんことを求むと。今、吾れ兼の天下の大利を生ずる所を本原し、吾れ别の天下の大害を生ずる所を本原せり。是の故に子墨子曰く、别は非にして兼は是なる者は、若の方より出づるなり。今、吾れ將に正しく天下の利を興すを求めて之を取らんとし、兼を以て正と為す。是を以て聰き耳、明るき目、相い為に視聴せんか。是を以て股肱の勇强、相い為に動宰せんか。而して道有れば肆に相い教誨せん。是を以て老いて妻子無き者は、侍養して以て其の夀を終うる所有り、幼弱孤童の父母無き者は、放依して以て其の身を長ずる所有り。今、唯だ兼を以て正と為す毋くんば、即ち其の利の若きなり。識らず、天下の士の皆な兼を聞きて非とする所以の者は、其の故、何ぞや。
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『墨子』備高臨臨むに連弩の車を以てす。杖は大方一方一尺、長さは城の薄厚に稱う。兩軸三輪、輪は筐中に居り、下上の筐を重ぬ。左右の旁に二植、左右に衡植有り。衡植の左右、皆な圜内、内徑四寸。左右に弩を縳るは皆な植に於いてし、鈎を以て大弩の臂の前後に至りて筐と齊し。筐の髙さ八尺、弩軸は下筐を去ること三尺五寸。連弩の機郭は銅を同じくすること一石三十斤、鹿を引くこと長奴。筐の大いさ三圍半、左右に鉤距有り、方三寸、輪の厚さ尺二寸、銅距の臂は博さ尺四寸、厚さ七寸、長さ六尺。横臂は筐外に齊しく、蚤は尺五寸、距有り、博さ六寸、厚さ三寸、長さは筐の如し。儀有り、詘勝有り、上下す可し。武を為すに重さ一石、材の大いさ五寸を以てす。矢の長さ十尺、繩を以て矢端にし、戈を射るが如くす。□を以て卷き牧む。矢は弩臂を髙くすること三尺、弩を用うるに數無く、人を出だすこと六十枚、小矢を用うるに留むる無し。十人、此の車を主る。遂に寇を具え、髙樓を為りて以て道を射、城上、答を以て矢を羅む。
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『墨子』公輸是に於いて公輸盤に見ゆ。子墨子、帶を解きて城と為し、牒を以て械と為す。公輸盤、九たび攻城の機變を設く。子墨子、九たび之を距ぐ。公輸盤の攻械、盡き、子墨子の守圉、餘り有り。公輸盤、詘して曰く、「吾れ子を距ぐ所以を知れり。吾れ言わず」と。子墨子も亦た曰く、「吾れ子の我を距ぐ所以を知れり。吾れ言わず」と。楚王、其の故を問う。子墨子曰く、「公輸子の意は、臣を殺さんと欲するに過ぎず。臣を殺さば、宋、能く守ること莫く、攻む可し。然れども臣の弟子禽滑釐等三百人、已に臣の守圉の器を持し、宋の城上に在りて楚の冦を待てり。臣を殺すと雖も、絶つこと能わざるなり」と。楚王曰く、「善いかな。吾れ請う、宋を攻むること無からん」と。
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『墨子』魯問公輸子、其の巧を善しとし、以て子墨子に語げて曰く、「我が舟戰は鉤强を以てす。知らず、子の義にも亦た鉤强有るか」と。子墨子曰く、「我が義の鉤强は、子の舟戰の鈎强より賢れり。我が鈎强は、我れ之を鈎するに愛を以てし、之を揣るに恭を以てす。鈎するに愛を以てせずんば則ち親しまず、揣るに恭を以てせずんば則ち速やかに狎る。狎れて親しまずんば、則ち速やかに離る。故に交ごも相い愛し、交ごも相い恭しきは、猶お相い利するがごときなり。今、子は鈎して人を止め、人も亦た鈎して子を止む。子は强にして人を距ぎ、人も亦た强にして子を距ぐ。交ごも相い鈎し、交ごも相い强うるは、猶お相い害するがごときなり。故に我が義の鈎强は、子の舟戰の鈎强より賢れり」と。
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老子・第11章三十輻は一轂を共にす、其の無に当たりて、車の用有り。埴を埏ねて以て器と為す、其の無に当たりて、器の用有り。戸牖を鑿ちて以て室と為す、其の無に当たりて、室の用有り。故に有の以て利を為すは、無の以て用を為せばなり。
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『墨子』魯問昔者、楚人と越人と江に舟戰す。楚人は流れに順いて進み、流れを迎えて退く。利を見て進み、不利を見れば則ち其の退くこと難し。越人は流れを迎えて進み、流れに順いて退く。利を見て進み、不利を見れば則ち其の退くこと速やかなり。越人、此に因り、若し函を執らば楚人を敗る。公輸子、魯より南のかた楚に遊び、焉に始めて舟戰の器を為り、鈎强の備えを作為す。退く者は之を鉤し、進む者は之を强む。其の鈎强の長さを量りて、制して之が兵を為る。楚の兵は節し、越の兵は節せず。楚人、此に因り、若し函を執らば越人を敗る。