孫子 / 用間篇
先知者,不可取於鬼神,不可象於事,不可驗於度,必取於人,知敵之情者也。
新字:先知者,不可取於鬼神,不可象於事,不可験於度,必取於人,知敵之情者也。
書き下し
先知は、鬼神に取るべからず、事に象るべからず、度に験すべからず、必ず人に取り、敵の情を知る者なり。
現代語訳
先んじて敵情を知ること(先知)は、鬼神への祈りで得られるものではなく、過去の出来事からの類推でも得られず、天体の運行を測って得られるものでもない。必ず人から得るのだ——それは、敵の実情を知る者(間者)からである。
解説
孫子の情報観を最も鋭く示す一節です。優れた指導者が事前に勝てるのは、敵の実情を「先に知る」から。ではその情報はどこから来るのか。孫子は、占いでも、前例からの当てずっぽうでも、暦や天文の計算でもない、と三つをきっぱり否定し、「必ず人から取る」と言い切ります。生きた情報は、現場を知る人間からしか得られない、というのです。二千五百年前に、迷信や希望的観測を退けて「一次情報を人から取れ」と説いた合理性は、驚くほど現代的です。仕事でも、データの外挿や前例踏襲、勘に頼るより、現場・顧客・当事者に直接あたって生の実情をつかむ。判断の質は、情報を「どこから」取るかで決まると、この一節は教えます。
この章句が説くこと
先知情報一次情報敵情成功人から取る
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