墨子 / 備城門
二步積石,石重中鈞以上者五百枚。毋百以亢,疾犂、璧皆可善方。二步積苙,大一圍,長丈,二十枚。五步一罌,盛水。有奚,奚大蠡容一斗。伍步積狗屍五百枚,狗屍長三尺,喪以弟,瓮亦端,堅約弋。十步積摶大二圍以上、長八尺者二十枚。二十五步一竈,有鐵鐟容石以上者一,戒以為湯。及持沙,毋下千石。
新字:二歩積石,石重中鈞以上者五百枚。毋百以亢,疾犂、璧皆可善方。二歩積苙,大一囲,長丈,二十枚。五歩一罌,盛水。有奚,奚大蠡容一斗。伍歩積狗屍五百枚,狗屍長三尺,喪以弟,瓮亦端,堅約弋。十歩積摶大二囲以上、長八尺者二十枚。二十五歩一竈,有鉄鐟容石以上者一,戒以為湯。及持沙,毋下千石。
書き下し
二步に石を積む。石の重さ中鈞以上なる者五百枚。百を以て亢する毋かれ。疾犂・璧、皆な善方なる可し。二步に苙を積む。大いさ一圍、長さ丈、二十枚。五步に一罌、水を盛る。奚有り、奚の大いさは蠡にして一斗を容る。五步に狗屍五百枚を積む。狗屍の長さ三尺、喪するに弟を以てす。瓮も亦た端し、堅く弋に約す。十步に摶を積む。大いさ二圍以上、長さ八尺なる者二十枚。二十五步に一竈、鐵鐟の石以上を容るる者一有り、戒めて以て湯を為す。及び沙を持すること、千石を下る毋かれ。
現代語訳
二歩ごとに石を積む。重さが中鈞以上のものを五百個。百個で止めてはならない。とげのある投げ具や石の円盤も、よいものを用意する。二歩ごとに束ねた材を積む。太さは一抱え、長さ一丈、二十本。五歩ごとに一つの甕を置き、水を満たす。柄杓を添え、柄杓は一斗が入る大きさとする。五歩ごとに犬の死骸を五百個積む。長さは三尺、順に処理する。甕も端を揃え、杭にしっかり結ぶ。十歩ごとに丸太を積む。太さは二抱え以上、長さ八尺のものを二十本。二十五歩ごとに一つの竈を置き、一石以上入る鉄鍋を一つ備えて、湯を沸かせるようにしておく。砂も千石を下らないように蓄える。
解説
城壁の上の物資の備蓄量です。石五百、束二十、水甕一つ、丸太二十、鉄鍋一つ、砂千石。単位距離あたりの必要量が全部数字で決まっています。「毋百以亢」——百で止めるなという注記が生々しい。備蓄の議論を、あればよいという水準ではなく、単位あたりの必要数として書き切っています。足りるかどうかは、感覚ではなく割り算で決まります。
この章句が説くこと
備蓄数量単位基準守城
関連する章句
-
『墨子』法儀然らば則ち奚を以て治法を為して可ならんか。故に曰く、天に法るに若くは莫し、と。天の行いは廣くして私無く、其の施しは厚くして徳とせず、其の明るきは久しくして衰えず。故に聖王は之に法る。既に天を以て法と為さば、動作有為には、必ず天に度り、天の欲する所は則ち之を為し、天の欲せざる所は則ち止む。
-
『墨子』尚賢下子墨子言いて曰く、「天下の王公大人は皆な其の國家の富み、人民の衆く、刑法の治まるを欲す。然れども尚賢を以て政を為して其の國家百姓を治むるを識らず。王公大人、本より尚賢の政を為すの本を失えるなり。若し茍くも王公大人、本より尚賢の政を為すの本を失わば、則ち物を舉げて之に示す毋くんばある能わざらんや。今、若し一諸侯、此に有りて、國家に政を為すや、曰く、『凡そ我が國の能く射御する士は、我れ將に之を賞し貴くせんとす。射御する能わざる士は、我れ將に之を罪し賤しくせんとす』と。若の國の士に問う、孰か喜び孰か懼れんと。我れ以て必ず能く射御する士は喜び、射御する能わざる士は懼れんと為す。我れ賞して因りて之を誘わん、曰く、『凡そ我が國の忠信の士は、我れ將に之を賞し貴くせんとす。忠信ならざる士は、我れ將に之を罪し賤しくせんとす』と。」
-
『墨子』法儀子墨子曰く、天下の事を從むる者は、以て法儀無かる可からず。法儀無くして其の事能く成る者は、有ること無し。士の將相為る者に至ると雖も皆な法有り、百工の事を從むる者に至ると雖も亦た皆な法有り。百工は方を為すに矩を以てし、圜を為すに規を以てし、直きは繩を以てし、正しきは懸を以てす。巧工も不巧工も無く、皆な此の四者を以て法と為す。巧なる者は能く之に中り、不巧なる者は中つる能わずと雖も、放依して以て事を從めば、猶お已に逾えたり。故に百工の事を從むるや、皆な法度有り。今、大なる者は天下を治め、其の次は大國を治むるに、而も法度無し。此れ百工の辯なるに若かざるなり。
-
『墨子』法儀然らば則ち奚を以て治法を為して可ならんか。當に皆な其の父母に法らば奚若ん。天下の父母為る者は衆けれども、仁なる者は寡し。若し皆な其の父母に法らば、此の法は不仁なり。法、不仁なれば、以て法と為す可からず。當に皆な其の學に法らば奚若ん。天下の學を為す者は衆けれども、仁なる者は寡し。若し皆な其の學に法らば、此の法は不仁なり。法、不仁なれば、以て法と為す可からず。當に皆な其の君に法らば奚若ん。天下の君為る者は衆けれども、仁なる者は寡し。若し皆な其の君に法らば、此の法は不仁なり。法、不仁なれば、以て法と為す可からず。故に父母・學・君の三者は、以て治法と為す可き莫し。
-
『墨子』尚賢上是の故に古者、聖王の政を為すや言いて曰く、「義ならざれば富まさず、義ならざれば貴くせず、義ならざれば親しまず、義ならざれば近づけず」と。是を以て國の富貴の人、之を聞きて、皆な退きて謀りて曰く、「始め我が恃む所の者は富貴なり。今、上、義を舉ぐるに貧賤を辟けず。然らば則ち我れ義を為さざる可からず」と。親しき者、之を聞き、亦た退きて謀りて曰く、「始め我が恃む所の者は親なり。今、上、義を舉ぐるに親疎を辟けず。然らば則ち我れ義を為さざる可からず」と。近き者、之を聞き、亦た退きて謀りて曰く、「始め我が恃む所の者は近なり。今、上、義を舉ぐるに近を辟けず。然らば則ち我れ義を為さざる可からず」と。逺き者、之を聞き、亦た退きて謀りて曰く、「始め我れ逺きを以て恃む無しと為す。今、上、義を舉ぐるに逺きを辟けず。然らば則ち我れ義を為さざる可からず」と。逺鄙郊外の臣、門庭の庶子、國中の衆、四鄙の氓人に逮び至るまで、之を聞きて皆な競いて義を為す。
-
『墨子』尚同上子墨子言いて曰く、古者、民、始めて生じて未だ刑政有らざる時、盖し其の語、人ごとに義を異にす。是を以て一人なれば則ち一義、二人なれば則ち二義、十人なれば則ち十義。其の人、滋いよ衆ければ、其の義と謂う所の者も亦た滋いよ衆し。是を以て人は其の義を是として、以て人の義を非とす。故に交ごも相い非とし是とするなり。内なる者は父子兄弟、怨惡を作し、離散して相い和合する能わず。天下の百姓、皆な水火毒藥を以て相い虧害し、餘力有るに至るも以て相い勞う能わず。餘財を府列するも以て相い分かたず、良道を隠匿するも以て相い教えず。天下の亂るること、禽獸の若く然り。