墨子 / 魯問
公輸子削竹木以為䧿,成而飛之,三日不下,公輸子自以為至巧。子墨子謂公輸子曰:「子之為䧿也,不如翟之為車轄,須㬰留三寸之木,而任五十石之重。故所為巧,利於人謂之巧,不利於人謂之拙。」
書き下し
公輸子、竹木を削りて以て䧿を為る。成りて之を飛ばすに、三日下らず。公輸子、自ら以て至巧と為す。子墨子、公輸子に謂いて曰く、「子の䧿を為るや、翟の車轄を為るに如かず。須㬰にして三寸の木を留めて、五十石の重きに任う。故に為す所の巧は、人に利するを之れ巧と謂い、人に利せざるを之れ拙と謂う」と。
現代語訳
公輸子が竹と木を削って鵲を作った。出来上がって飛ばすと、三日間落ちなかった。公輸子は自分でこの上ない巧みさだと考えた。墨子が公輸子に言った。「あなたが鵲を作るのは、私が車の轄を作るのに及ばない。わずかな間に三寸の木を削って、五十石の重さを支える。だから巧みさとは、人を利するものを巧みといい、人を利さないものを拙いというのだ」。
解説
三日飛び続ける木の鳥と、車輪を止める三寸の楔。技術の巧拙を、難しさではなく役に立つかどうかで判定します。「利於人謂之巧、不利於人謂之拙」——人を利するのが巧み、利さないのが拙い。技術者に向けた評価基準として、これほど簡潔なものはありません。
この章句が説くこと
技術実用評価巧拙利
関連する章句
-
『墨子』經說上平。惔然たり。利。是を得て喜べば、則ち是れ利なり。其の害は、是に非ざるなり。害。是を得て惡めば、則ち是れ害なり。其の利は、是に非ざるなり。治。吾が事、治まれり。人に南北を治むる有り。譽む。必ず其の行いなり、其の言の忻ぶなり。人をして之を督せしむ。誹る。必ず其の行いなり、其の言の忻ぶなり。譽むるに文名を以て告ぐるは、彼の實を舉ぐるなり。故。言なる者は、諸れ口能く之を出だして民するものなり。民は畫俿の若きなり。言や言と謂う、猶お名の致すがごときなり。且。前よりするを且と曰い、後よりするを己と曰う。方に然らんとするも亦た且なり。名の若き者は、君なり、若の名を以てする者なり。功は時を待たず、衣裘の若し。功は時を待たず、衣裘の若し。賞。罪は禁に在らず、惟だ害あれば罪無きも殆く姑し。上、下の功に報ゆるなり。
-
孫子・九地篇利に合いて動き、利に合わずして止まる。
-
論語・憲問篇子曰く、人の己を知らざるを患えず、其の能わざるを患う。
-
論語・憲問篇子曰く、『驥は其の力を称せず、その徳を称すなり。』
-
説苑・善說齊景公子貢に謂いて曰く、「子誰をか師とする。」曰く、「臣仲尼を師とす。」公曰く、「仲尼賢なるか。」對えて曰く、「賢なり。」公曰く、「其の賢たること何如。」對えて曰く、「知らざるなり。」公曰く、「子其の賢を知りて其の奚若たるを知らざるは、可ならんか。」對えて曰く、「今天高しと謂うに、少長愚智と無く皆高きを知る。高きこと幾何ぞや。皆知らずと曰う。是を以て仲尼の賢を知りて其の奚若たるを知らざるなり。」
-
史記 管晏列伝鮑叔既に管仲を進め、身を以て之に下る。子孫世々斉に禄せられ、封邑を有つこと十余世、常に名大夫為り。天下、管仲の賢を多とせずして、鮑叔の能く人を知るを多とす。