墨子 / 魯問
子墨子謂魯陽文君曰:「世俗之君子,皆知小物而不知大物。今有人於此,竊一犬一彘則謂之不仁,竊一國一都則以為義。譬猶小視白謂之白,大視白則謂之黒。是故世俗之君子知小物而不知大物者,若此言之謂也。」
新字:子墨子謂魯陽文君曰:「世俗之君子,皆知小物而不知大物。今有人於此,窃一犬一彘則謂之不仁,窃一国一都則以為義。譬猶小視白謂之白,大視白則謂之黒。是故世俗之君子知小物而不知大物者,若此言之謂也。」
書き下し
子墨子、魯陽文君に謂いて曰く、「世俗の君子は、皆な小物を知りて大物を知らず。今、人、此に有り。一犬一彘を竊まば則ち之を不仁と謂い、一國一都を竊まば則ち以て義と為す。譬うれば猶お小しく白を視れば之を白と謂い、大いに白を視れば則ち之を黒と謂うがごとし。是の故に世俗の君子、小物を知りて大物を知らざる者は、此の言の謂の若きなり」と。
現代語訳
墨子が魯陽文君に言った。「世間の君子はみな、小さなことは分かって大きなことが分からない。いまここに人がいて、犬一匹、豚一頭を盗めば不仁だと言われ、一国一都を盗めば義だとされる。それは、少し白いものを見れば白と言い、大きく白いものを見れば黒と言うようなものです。だから世間の君子が小さなことは分かって大きなことが分からないというのは、このことを言うのです」。
解説
非攻篇の中心の論法を、一段に凝縮したものです。同じ盗みが、規模が大きくなると評価が反転する。白いものを大きく見たら黒と言うようなものだ、というたとえで、判定の一貫性のなさを示します。小さな不正には厳しく、大きな不正には鈍い。組織でも同じことが起きます。額が大きいほど、判断が鈍るのはなぜかという問いでもあります。
この章句が説くこと
一貫性規模判定盗非攻
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