墨子 / 貴義
子墨子曰:吾言足用矣,舍言革思者,是猶舍穫而攗粟也。以其言非吾言者,是猶以卵投石也,盡天下之卵,其石猶是也,不可毁也。
新字:子墨子曰:吾言足用矣,舎言革思者,是猶舎穫而攗粟也。以其言非吾言者,是猶以卵投石也,尽天下之卵,其石猶是也,不可毁也。
書き下し
子墨子曰く、吾が言は用うるに足れり。言を舍てて思いを革むる者は、是れ猶お穫を舍てて粟を攗うがごときなり。其の言を以て吾が言を非とする者は、是れ猶お卵を以て石に投ずるがごときなり。天下の卵を盡くすとも、其の石、猶お是のごとし、毀つ可からざるなり。
現代語訳
墨子が言った。私の言葉は用いるに足りている。それを捨てて考えを改めようとするのは、刈り取った作物を捨てて落ち穂を拾うようなものだ。自分の言葉で私の言葉を否定しようとするのは、卵を石に投げつけるようなものだ。天下じゅうの卵を投げ尽くしても、石はそのままで、壊すことはできない。
解説
貴義篇の結びで、墨子の自信がそのまま出た一段です。「以卵投石」——卵を石に投げる、という成語はここから来ています。ただしこれは論証ではなく態度の表明です。三表や小取で、主張は根拠と類によって進むと説いた学派が、こう言い切る場面も残している。書物としての正直さでもあります。整った論証だけを残さなかったところに、この書の人間味があります。
この章句が説くこと
確信成語態度主張卵
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