論語 / 郷党篇
寢不尸,居不容。見齊衰者,雖狎必變。見冕者與瞽者,雖褻必以貌。凶服者式之。式負版者。有盛饌,必變色而作。迅雷,風烈,必變。
新字:寝不尸,居不容。見斉衰者,雖狎必変。見冕者与瞽者,雖褻必以貌。凶服者式之。式負版者。有盛饌,必変色而作。迅雷,風烈,必変。
書き下し
寝ぬるに尸せず、居るに容らず。斉衰者を見れば、狎れたりと雖も必ず変ず。冕者と瞽者とを見れば、褻れたりと雖も必ず貌を以てす。凶服者には之に式す。負版者に式す。盛饌有れば、必ず色を変じて作つ。迅雷、風烈には、必ず変ず。
現代語訳
寝るときは死人のように仰向けにならず、家にいるときは客に会うときのような堅苦しい構えをとらなかった。喪服の人に会えば、親しい間柄であっても必ず表情を改めた。礼冠の人や目の不自由な人に会えば、日常の場であっても必ず礼儀にかなった態度をとった。喪服の人には車上から会釈し、戸籍の版を負う者にも会釈した。立派なご馳走が出れば、必ず表情を改めて立ち上がった。激しい雷や暴風のときは、必ず態度を改めた。
解説
前半は、くつろぐときはくつろぐという話である。家では堅苦しくしない。だが相手や場面が変われば、親しさに関わらず態度を改める。狎れたりと雖も必ず変ず、という一句が核心だ。親しいから省いてよい、とはしなかった。後半で興味深いのは、戸籍の版を負う者への会釈である。地位のある人物ではなく、民の名簿を運ぶ役人に対して敬意を示した。名簿の向こうにいる民衆への敬意だと解される。そして最後、雷や暴風にも態度を改めた。人に対してだけでなく、自然の力に対しても構えを正す。敬意の対象が、身分や利害と無関係に設定されているのが、この章全体を貫いている。