墨子 / 貴義
子墨子曰:世之君子欲其義之成,而助之脩其身則愠是猶欲其牆之成,而人助之築則愠也。豈不悖哉?
書き下し
子墨子曰く、世の君子、其の義の成らんことを欲するに、之を助けて其の身を脩めしむれば則ち愠る。是れ猶お其の牆の成らんことを欲するに、人、之を助けて築けば則ち愠るがごときなり。豈に悖らざらんや。
現代語訳
墨子が言った。世の君子は、自分の義が成ることを望んでいるのに、それを助けて身を修めさせようとすると腹を立てる。これは、自分の塀ができることを望んでいるのに、人が助けて築いてくれると腹を立てるようなものだ。筋が通らないではないか。
解説
助言を受けたときに腹が立つのはなぜか、を一行で照らします。塀を築くのを手伝われて怒る人はいない。ところが身を修めるのを手伝われると怒る。目的が同じなら手伝いは歓迎すべきものだ、という単純な指摘が、かえって効きます。指摘を受けて反射的に身構えたとき、思い出したい一段です。腹が立った理由は、たいてい内容ではなく、指摘されたこと自体にあります。
この章句が説くこと
助言目的反発修養矛盾
関連する章句
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『墨子』貴義子墨子、二三子に謂いて曰く、義を為して能わずんば、必ず其の道を排する無かれ。譬えば匠人の斵りて能わざるも、其の繩を排する無きが若し。
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『墨子』貴義子墨子曰く、世俗の君子、義士を視ること粟を負う者に若かず。今、人、此に有り。粟を負いて路側に息い、起たんと欲して能わず。君子、之を見れば、長少貴賤と無く、必ず之を起たしむ。何の故ぞや。曰く、義なり。今、義を為すの君子、先王の道を奉承して以て之に語るも、縱いて説ばずして行き、又た従いて之を非毁す。則ち是れ世俗の君子の義士を視るや、粟を負う者を視るに若かざるなり。
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『墨子』耕柱子墨子曰く、「世俗の君子は、貧しくして之を富めりと謂えば則ち怒り、義無くして之を義有りと謂えば則ち喜ぶ。豈に悖らざらんや」と。
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『墨子』貴義子墨子、人を衛に仕えしむ。仕うる所の者、至りて反る。子墨子曰く、「何の故に反るや」と。對えて曰く、「我れと言いて審らかならず。『女を待つに千盆を以てせん』と曰いて、我に五百盆を授く。故に之を去るなり」と。子墨子曰く、「子に授くること千盆を過ぎば、則ち子、之を去らんか」と。對えて曰く、「去らじ」と。子墨子曰く、「然らば則ち其の審らかならざるが為に非ず、其の寡なきが為なり」と。
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『墨子』貴義子墨子、魯より齊に自く。即ち故人を過る。子墨子に謂いて曰く、「今、天下、義を為すこと莫し。子、獨り自ら苦しみて義を為す。子は已むに若かず」と。子墨子曰く、「今、人、此に有り。子十人有り、一人耕して九人處らば、則ち耕す者は以て益ます急ならざる可からず。何の故ぞ。則ち食う者衆くして耕す者寡なければなり。今、天下、義を為すこと莫くんば、則ち子は我を勸むべき者なり。何の故に我を止むるや」と。
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