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墨子 / 非儒下

且夫䌓飾禮樂以淫人,久喪偽哀以謾親,立命緩貧而髙浩居,倍本棄事而安怠倦貪於飲食,惰於作務,陷於饑寒,危於凍餒,無以違之。是苦人氣,䑕蔵,而羝羊視,羵彘起。君子笑之,怒曰:「散人,焉知良儒!」夫夏乞麥禾,五榖既收,大喪是隨,子姓皆従,得厭飲食,畢治數喪,足以至矣。因人之扇翣以為恃因人之野以為尊,富人有喪,乃大説喜,曰:「此衣食之端也。」

新字:且夫䌓飾礼楽以淫人,久喪偽哀以謾親,立命緩貧而高浩居,倍本棄事而安怠倦貪於飲食,惰於作務,陥於饑寒,危於凍餒,無以違之。是苦人気,鼠蔵,而羝羊視,羵彘起。君子笑之,怒曰:「散人,焉知良儒!」夫夏乞麦禾,五榖既収,大喪是随,子姓皆従,得厭飲食,畢治数喪,足以至矣。因人之扇翣以為恃因人之野以為尊,富人有喪,乃大説喜,曰:「此衣食之端也。」

書き下し

且つ夫れ禮樂を䌓飾して以て人を淫し、久しく喪して哀を偽りて以て親を謾き、命を立て貧に緩やかにして髙く浩居し、本に倍き事を棄てて怠倦に安んじ、飲食を貪り、作務に惰り、饑寒に陷り、凍餒に危うきも、以て之を違くること無し。是れ人の氣を苦しめ、䑕のごとく蔵れて、羝羊のごとく視、羵彘のごとく起つ。君子、之を笑えば、怒りて曰く、「散人、焉んぞ良儒を知らん」と。夫れ夏には麥禾を乞い、五榖既に收まれば、大喪、是れに隨い、子姓、皆な従い、飲食を厭くを得、數喪を畢治すれば、以て至るに足る。人の扇翣に因りて以て恃みと為し、人の野に因りて以て尊しと為す。富人に喪有れば、乃ち大いに説喜して曰く、「此れ衣食の端なり」と。

現代語訳

そのうえ礼楽を飾り立てて人を惑わせ、長い喪で悲しみを偽って親を欺き、運命を立てて貧しさに手をつけず、高慢に構える。根本に背いて仕事を捨て、怠けに安んじ、飲み食いをむさぼり、務めに怠り、飢えと寒さに陥り、凍え飢える危うさに至っても、それを避けようとしない。人の気を苦しめ、鼠のように隠れ、牡羊のように見つめ、去勢豚のように立ち上がる。君子がこれを笑うと、怒って言う。「くだらぬ者に、どうして良い儒者が分かるか」。夏には麦を乞い、五穀が収まれば大きな喪がそれに続き、一族の者がみな付き従って、飲み食いに飽きるまでありつく。いくつかの喪を務めれば、それで足りる。人の葬具を頼りにし、人の田畑をよりどころに尊ぶ。富んだ家に喪があると、大いに喜んでこう言う。「これが衣食の元手だ」。

解説

非儒篇でいちばん辛辣な一段です。喪礼を職業とする儒者が、人の不幸を収入源として喜ぶ姿を描きます。「此衣食之端也」——これが衣食の元手だ、という台詞は、後世の儒家からも強く反発されました。誇張と敵意を含んだ描写であることは差し引く必要がありますが、儀礼が生業になったときに何が起きうるかという指摘としては、業種を問わず刺さります。

この章句が説くこと

生業儀礼利害批判誇張

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