墨子 / 天志中
是故子墨子曰有天志辟人無以異乎輪人之有規,匠人之有矩也。今夫輪人操其規,將以量度天下之圜與不圜也,曰:中吾規者謂之圜,不中吾規者謂之不圜。是以圜與不圜,皆可得而知也。此其故何?則圜法明也。匠人亦操其矩,將以量度天下之方與不方也。曰:中吾矩者謂之方,不中吾矩者謂之不方。是以方與不方,皆可得而知之。此其故何?則方法明也。
新字:是故子墨子曰有天志辟人無以異乎輪人之有規,匠人之有矩也。今夫輪人操其規,将以量度天下之圜与不圜也,曰:中吾規者謂之圜,不中吾規者謂之不圜。是以圜与不圜,皆可得而知也。此其故何?則圜法明也。匠人亦操其矩,将以量度天下之方与不方也。曰:中吾矩者謂之方,不中吾矩者謂之不方。是以方与不方,皆可得而知之。此其故何?則方法明也。
書き下し
是の故に子墨子曰く、天志有り、人を辟うるに以て輪人の規有り、匠人の矩有るに異なる無し、と。今、夫れ輪人は其の規を操りて、將に以て天下の圜と不圜とを量度せんとして曰く、吾が規に中る者は之を圜と謂い、吾が規に中らざる者は之を不圜と謂う、と。是を以て圜と不圜と、皆な得て知る可きなり。此れ其の故は何ぞ。則ち圜法、明らかなればなり。匠人も亦た其の矩を操りて、將に以て天下の方と不方とを量度せんとして曰く、吾が矩に中る者は之を方と謂い、吾が矩に中らざる者は之を不方と謂う、と。是を以て方と不方と、皆な得て之を知る可し。此れ其の故は何ぞ。則ち方法、明らかなればなり。
現代語訳
だから墨子が言った。天の志があるのは、たとえるなら車輪職人にコンパスがあり、大工にさしがねがあるのと変わらない。いま車輪職人はコンパスを手にして、天下の円と円でないものを測ろうとしてこう言う。私のコンパスに合うものを円といい、合わないものを円でないという、と。だから円と円でないものが、みな分かる。それはなぜか。円の法が明らかだからである。大工もまたさしがねを手にして、天下の四角と四角でないものを測ろうとしてこう言う。私のさしがねに合うものを四角といい、合わないものを四角でないという、と。だから四角と四角でないものが、みな分かる。それはなぜか。四角の法が明らかだからである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『墨子』天志上子墨子言いて曰く、我れに天志有り、譬えば輪人の規有り、匠人の矩有るが若し。輪匠は其の規矩を執りて、以て天下の方圜を度りて曰く、中る者は是なり、中らざる者は非なり、と。今、天下の士君子の書は勝げて載す可からず、言語は盡く計う可からず。上は諸侯に説き、下は列士に説くも、其の仁義に於けるは則ち大いに相い逺きなり。何を以て之を知るや。曰く、我れ天下の明法を得て以て之を度ればなり。
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『墨子』天志下故に子墨子は天志を置立して以て儀法と為す。輪人の規有り、匠人の矩有るが若きなり。今、輪人は規を以てし、匠人は矩を以てす。此を以て方圜の别あり。是の故に子墨子は天志を置立して以て儀法と為す。吾れ此を以て天下の士君子の義を去ること逺きを知るなり。何を以て天下の士君子の義を去ること逺きを知るや。今の大國の君と為る寛然たる者は曰く、「吾れ大國に處りて、小國を攻めずんば、吾れ何を以て大と為さんや」と。是を以て爪牙の士を差論し、其の舟車の卒を比列して、以て罪無きの國を攻伐す。其の溝境に入り、其の禾稼を刈り、其の樹木を斬り、其の城郭を殘して以て其の溝池を汙し、其の祖廟を焚燒し、其の犧牷を攘殺す。民の格る者は則ち勁いて之を拔き、格らざる者は則ち繫ぎ操りて歸る。大夫は以て僕圉胥靡と為し、婦人は以て舂酋と為す。
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『墨子』天志中故に子墨子の天の意有るや、上は將に以て天下の王公大人の刑政を為すを度らんとし、下は將に以て天下の萬民の文學を為し言談を出だすを量らんとす。其の行いを觀るに、天の意に順うは、之を善なる意行と謂い、天の意に反するは、之を不善なる意と謂う。其の言談を觀るに、天意に順うは、之を善なる言談と謂い、天の意に反するは、之を不善なる言談と謂う。其の刑政を觀るに、天の意に順うは、之を善なる刑政と謂い、天の意に反するは、之を不善なる刑政と謂う。故に此を置きて以て法と為し、此を立てて以て儀と為し、將に以て天下の王公大人・卿大夫の仁と不仁とを量度せんとす。之を譬うるに猶お黒白を分かつがごときなり。是の故に子墨子曰く、「今、天下の王公大人・士君子、中實に將に道に遵い民を利せんと欲し、本より仁義の本を察せば、天の意、順わざる可からざるなり。天の意に順う者は、義の法なり」と。
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『墨子』法儀子墨子曰く、天下の事を從むる者は、以て法儀無かる可からず。法儀無くして其の事能く成る者は、有ること無し。士の將相為る者に至ると雖も皆な法有り、百工の事を從むる者に至ると雖も亦た皆な法有り。百工は方を為すに矩を以てし、圜を為すに規を以てし、直きは繩を以てし、正しきは懸を以てす。巧工も不巧工も無く、皆な此の四者を以て法と為す。巧なる者は能く之に中り、不巧なる者は中つる能わずと雖も、放依して以て事を從めば、猶お已に逾えたり。故に百工の事を從むるや、皆な法度有り。今、大なる者は天下を治め、其の次は大國を治むるに、而も法度無し。此れ百工の辯なるに若かざるなり。
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『墨子』天志中今、天下の人曰く、「當に天子の諸侯より貴く、諸侯の大夫より貴きが若きは、髙明にして之を知る。然れども吾れ未だ天の天子より貴く且つ知なるを知らず」と。子墨子曰く、「吾が天の天子より貴く且つ知なるを知る所以の者、有り。曰く、天子、善を為さば、天、能く之を賞し、天子、暴を為さば、天、能く之を罰す。天子に疾病禍祟有らば、必ず齋戒沐浴し、潔く酒醴粢盛を為りて、以て天鬼を祭祀すれば、則ち天、能く之を除去す。然れども吾れ未だ天の福を天子に祈るを知らざるなり。此れ吾が天の天子より貴く且つ知なるを知る所以の者なり。此に止まるのみならず、又た先王の書、天を訓えて明らかに解けざるの道を以て之を知るなり。曰く、「明哲なるは維れ天、君に臨みて下し出だす」と。則ち此れ天の天子より貴く且つ知なるを語る。知らず、亦た夫の天より貴く知なる者有らんや。曰く、天を貴しと為し、天を知と為すのみ。然らば則ち義は果たして天自り出づ」と。
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『墨子』天志下今、天下の士君子は、皆な天子の天下を正すに明らかなるも、天の正すに明らかならず。是の故に古者、聖人、明らかに此を以て人に説きて曰く、天子に善有らば、天、能く之を賞し、天子に過ち有らば、天、能く之を罰す。天子の賞罰、當たらず、獄を聴くこと中らざれば、天下に疾病禍祟あり、霜露、時ならず。天子、必ず且つ其の牛羊犬彘を犓豢し、潔く粢盛酒醴を為りて、以て天に禱祠し福を祈る。我れ未だ嘗て天の天子に禱り福を祈るを聞かざるなり。吾れ此を以て天の天子より重く且つ貴きを知るなり。是の故に義なる者は愚にして且つ賤しき者自り出でず、必ず貴くして且つ知なる者自り出づ。曰く、誰をか知と為す。天を知と為す。然らば則ち義は果たして天自り出づるなり。今、天下の士君子の義を為さんと欲する者は、則ち天の意に順わざる可からず。