墨子 / 天志中
今天下之人曰:「當若天子之貴諸侯,諸侯之貴大夫,髙明知之。然吾未知天之貴且知於天子也。」子墨子曰:「吾所以知天之貴且知於天子者有矣。曰:天子為善,天能賞之;天子為暴,天能罰之;天子有疾病禍祟,必齋戒沐浴,潔為酒醴粢盛,以祭祀天鬼,則天能除去之,然吾未知天之祈福於天子也。此吾所以知天之貴且知於天子者。不止此而已矣,又以先王之書訓天明不解之道也知之。曰:「明哲維天,臨君下出則此語天之貴且知於天子。不知亦有貴知夫天者乎?曰:天為貴,天為知而已矣。然則義果自天出矣。」
新字:今天下之人曰:「当若天子之貴諸侯,諸侯之貴大夫,高明知之。然吾未知天之貴且知於天子也。」子墨子曰:「吾所以知天之貴且知於天子者有矣。曰:天子為善,天能賞之;天子為暴,天能罰之;天子有疾病禍祟,必斎戒沐浴,潔為酒醴粢盛,以祭祀天鬼,則天能除去之,然吾未知天之祈福於天子也。此吾所以知天之貴且知於天子者。不止此而已矣,又以先王之書訓天明不解之道也知之。曰:「明哲維天,臨君下出則此語天之貴且知於天子。不知亦有貴知夫天者乎?曰:天為貴,天為知而已矣。然則義果自天出矣。」
書き下し
今、天下の人曰く、「當に天子の諸侯より貴く、諸侯の大夫より貴きが若きは、髙明にして之を知る。然れども吾れ未だ天の天子より貴く且つ知なるを知らず」と。子墨子曰く、「吾が天の天子より貴く且つ知なるを知る所以の者、有り。曰く、天子、善を為さば、天、能く之を賞し、天子、暴を為さば、天、能く之を罰す。天子に疾病禍祟有らば、必ず齋戒沐浴し、潔く酒醴粢盛を為りて、以て天鬼を祭祀すれば、則ち天、能く之を除去す。然れども吾れ未だ天の福を天子に祈るを知らざるなり。此れ吾が天の天子より貴く且つ知なるを知る所以の者なり。此に止まるのみならず、又た先王の書、天を訓えて明らかに解けざるの道を以て之を知るなり。曰く、「明哲なるは維れ天、君に臨みて下し出だす」と。則ち此れ天の天子より貴く且つ知なるを語る。知らず、亦た夫の天より貴く知なる者有らんや。曰く、天を貴しと為し、天を知と為すのみ。然らば則ち義は果たして天自り出づ」と。
現代語訳
いま天下の人はこう言う。「天子が諸侯より貴く、諸侯が大夫より貴いことは、はっきりしていて分かる。しかし天が天子より貴く智があるとは分からない」。墨子が言った。「私が、天が天子より貴く智があると判断する理由がある。天子が善を行えば天はこれを賞し、天子が暴を行えば天はこれを罰する。天子に病や災いがあれば、必ず身を清め沐浴し、清らかに酒と供物を整えて天と鬼神を祭る。すると天はそれを取り除ける。しかし私は、天が天子に福を祈るという話を知らない。これが、天が天子より貴く智があると判断する理由である。それだけではない。先王の書が天を語って明らかに解ききれない道を説いているのでも分かる。いわく、『明らかに哲であるのは天であり、君に臨んで下に示す』。これは天が天子より貴く智があることを語っている。では天より貴く智ある者がほかにあるだろうか。天を貴いとし、天を智とするだけである。とすれば義は結局、天から出る」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
人物志・自序其の安んずる所を察し、其の由る所を觀て、以て居止の行を知る。
-
人物志・八觀七に曰く、其の短なる所を観て、以て長なる所を知る。
-
孫子・行軍篇令素より行われて以て其の民を教うれば、則ち民服す。令素より行われずして以て其の民を教うれば、則ち民服せず。令素より行わるる者は、衆と相得るなり。
-
孫子・行軍篇敵近くして静かなる者は、其の険を恃むなり。遠くして戦いを挑む者は、人の進むを欲するなり。其の居る所の易なる者は、利あればなり。
-
人物志・九徵是の故に人を觀て質を察するには、必ず先ず其の平淡を察し、而る後に其の聰明を求む。
-
孫子・行軍篇衆樹の動く者は来たるなり。衆草の障多き者は疑わしむるなり。鳥の起つ者は伏なり。獣の駭く者は覆なり。塵の高くして鋭き者は車の来たるなり。卑くして広き者は徒の来たるなり。散じて条達する者は樵采なり。少なくして往来する者は営軍なり。