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墨子 / 天志中

且吾所以知天愛民之厚者,不止此而足矣。曰殺不辜者,天予不祥。不辜者誰也?曰人也。予之不祥者誰也?曰天也。若天不愛民之厚,天胡説人殺不辜,而天予之不祥哉?此吾以知天之愛民之厚也。

書き下し

且つ吾が天の民を愛するの厚きを知る所以の者は、此に止まらずして足れり。曰く、不辜を殺す者は、天、不祥を予う。不辜なる者は誰ぞや。曰く、人なり。之に不祥を予うる者は誰ぞや。曰く、天なり。若し天、民を愛するの厚からずんば、天、胡ぞ人の不辜を殺すを説びて、天、之に不祥を予えんや。此れ吾が以て天の民を愛するの厚きを知るなり。

現代語訳

私が天の民への愛の厚さを知る理由は、これだけにとどまらない。罪の無い者を殺す者には、天が不祥を与える。罪の無い者とは誰か。人である。それに不祥を与えるのは誰か。天である。もし天が民を厚く愛していないなら、なぜ天は人が罪の無い者を殺したときに、それに不祥を与えるのか。これが、私が天の民への愛の厚さを知る理由である。

解説

同じ論証が天志上篇にもありましたが、こちらのほうが簡潔です。誰が被害者で誰が罰を与えるか、を二問二答で確定させてから結論に入る。短い問答を重ねて論点を固定する書き方は、墨経の定義群にもつながる技法で、墨家が論理の学派と呼ばれる理由の一端がここにあります。論点を先に確定させておけば、話が途中で別の話にすり替わることを防げます。

この章句が説くこと

論証問答簡潔被害

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