墨子 / 兼愛下
昔者越王句踐好勇,教其士臣三年,以其知為未足以知之也。焚舟失火,鼔而進之。其士偃前列、伏水火而死者,不可勝數也。當此之時,不鼔而退也,越國之士可謂顫矣。故焚身為其難為也,然後為而越王説之,未踰於世而民可移也,即求以鄉其上也。
新字:昔者越王句践好勇,教其士臣三年,以其知為未足以知之也。焚舟失火,鼓而進之。其士偃前列、伏水火而死者,不可勝数也。当此之時,不鼓而退也,越国之士可謂顫矣。故焚身為其難為也,然後為而越王説之,未踰於世而民可移也,即求以郷其上也。
書き下し
昔者、越王句踐は勇を好む。其の士臣を教うること三年、其の知を以て未だ以て之を知るに足らずと為すなり。舟を焚き火を失し、鼔して之を進ましむ。其の士、前列に偃し、水火に伏して死する者、勝げて數う可からざるなり。此の時に當たりて、鼔せずして退かしむるも、越國の士は顫うと謂う可し。故に身を焚くは其の為し難きを為すなり。然る後に為して越王、之を説ぶ。世を踰えずして民、移す可きなり。即ち以て其の上に鄉かんことを求むればなり。
現代語訳
むかし越王句践は勇を好んだ。士や臣を三年教えたが、その知恵ではまだ十分に分からせられないと考えた。そこで舟に火を放ち、火事のなかで太鼓を打って進ませた。士は前列に倒れ、水と火に伏して死んだ者は数え切れなかった。このとき、太鼓を打たずに退かせたとしても、越の士は震え上がったといえよう。だから身を焼くのは実行が難しいことである。それでも実行され、越王はそれを喜んだ。一世代も経たずに民は変わった。上に向かおうとしたからである。
解説
三つの例のうち最も苛烈なものです。三年教えても分からなかったので、舟に火をかけて試した。数え切れない者が死にました。墨子はこの話を賛美していません。「これより難しいことが実行された」という証拠として置いているだけです。上の好みが人を死なせるところまで届くという事実の重さが、そのまま、上の好みを何に向けるかという責任の重さになります。
この章句が説くこと
上の好み危険責任実例動員
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