墨子 / 尚賢上
是其故何也?曰:上之所以使下者,一物也;下之所以事上者,一術也。譬之富者,有髙牆深宫,牆立既謹,上為鑿一門。有盜人入,闔其自入而求之,盜其無自出。是其故何也,則上得要也。
新字:是其故何也?曰:上之所以使下者,一物也;下之所以事上者,一術也。譬之富者,有高牆深宮,牆立既謹,上為鑿一門。有盗人入,闔其自入而求之,盗其無自出。是其故何也,則上得要也。
書き下し
是れ其の故は何ぞや。曰く、上の下を使う所以の者は一物なり。下の上に事うる所以の者は一術なり。之を富める者に譬うれば、髙牆深宫有り、牆立つこと既に謹しみて、上に一門を鑿つを為す。盜人の入る有らば、其の自ら入りしを闔じて之を求むれば、盜、其れ自り出づる無し。是れ其の故は何ぞや、則ち上、要を得ればなり。
現代語訳
それはなぜか。上が下を動かす手立てが一つのものであり、下が上に仕える道筋も一つだからである。裕福な者にたとえるなら、高い塀と奥深い屋敷があって、塀をしっかりと立て、そのうえで門を一つだけ開けておく。盗人が入ったら、その入ってきた門を閉ざして探せば、盗人は出るところが無い。それはなぜか。上が要点を押さえているからである。
解説
基準を一つにすることの効果を、門の比喩で説明します。塀を高くしても出入口が複数あれば管理できない。門が一つなら、閉じるだけで済む。人事の基準を義の一本に絞れば、上が下を動かす手立ても、下が上に近づく道筋も一本になる——これが「上得要」、要点を押さえるということです。評価軸を増やすほど管理が難しくなる、という逆説がここにあります。
この章句が説くこと
一本化要基準管理抜け道
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