牧民忠告 / 受代
聞代者來,則避所居而郊迎之,不可以其代己也而疾之,而簿之,而不以舊政告之也。大抵天下之善,而彼猶在此,勸人為善,即己之為善也。詎可惟許己為善,而不願他人為善哉?
新字:聞代者来,則避所居而郊迎之,不可以其代己也而疾之,而簿之,而不以旧政告之也。大抵天下之善,而彼猶在此,勧人為善,即己之為善也。詎可惟許己為善,而不願他人為善哉?
書き下し
代(か)わる者来たると聞かば、則ち居る所を避けて郊(こう)に之を迎え、其の己に代わるを以(もっ)て之を疾(にく)み、之を簿(うす)んじ、旧政を以て之に告げざるべからず。大抵天下の善は、彼も猶お此に在り。人に善を為すを勧むるは、即ち己の善を為すなり。詎(なん)ぞ惟(た)だ己の善を為すのみを許して、他人の善を為すを願わざるべけんや。
現代語訳
後任者が来ると聞いたら、住まいを離れて郊外まで出迎えるべきであり、自分に取って代わるからといって彼を憎んだり、軽んじたり、これまでの政務を教えずにおいたりしてはならない。おおよそ天下の善事というものは、後任者にも同じく備わっているのだから、人に善を勧めることは、そのまま自分が善を行うことに等しい。どうして自分だけが善を行うことを認め、他人が善を行うことを願わないでよいだろうか。
解説
本条は、県令交代の際の心構えを説く。後任者を出迎え、恨みや軽視ではなく誠意をもって旧政を引き継ぐべきだとする。人材の善行は自分一人の専有物ではなく、他者の善行を喜び後押しすることも自らの徳の実践であるという発想が根底にある。組織の引き継ぎにおいて後任を敵視したり情報を出し惜しんだりする態度は、今日の職場でも珍しくない。しかし後任の成功を願い協力することは、組織全体の利益であり、ひいては自分自身の評価にも跳ね返る。地位への執着より仕事の継続性を優先する姿勢が問われている。
この章句が説くこと
郊迎新代引き継ぎ後任善
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