牧民忠告 / 聽訟
訟有相約而問者,不可乘一時之忿擅加搒掠也。若釋道,若兵卒,諸不隸所部者是已。
新字:訟有相約而問者,不可乗一時之忿擅加搒掠也。若釈道,若兵卒,諸不隸所部者是已。
書き下し
訟に相約(あいやく)して問う者有り、一時の忿(いきどお)りに乗じて擅(ほしいまま)に搒掠(ぼうりゃく)を加う可からざるなり。釈道(しゃくどう)の若(ごと)き、兵卒の若きは、諸(もろもろ)の部に隷(れい)せざる者是れのみ。
現代語訳
訴訟には(他の役所や管轄と)約束して合同で審理する場合があるが、一時の怒りに任せて勝手に拷問や鞭打ちを加えてはならない。僧侶や道士、あるいは兵卒のような、自分の管轄に属さない者たちについては、なおさらである。
解説
本条は管轄の異なる関係者を扱う合同審理の心構えを説く。自分の権限が及ばない相手であればあるほど、怒りに任せた独断的な処罰は越権であり慎むべきだとする。感情に任せた即断こそ最も危うい統治の落とし穴だという認識が根底にある。現代の組織においても、他部門や社外の関係者と合同で問題対応にあたる際、自らの管轄を超えて感情的に処分を下すことは、越権行為であり信頼関係を損なう。管理職は自分の権限の境界を常に自覚し、管轄外の相手には手続きを踏んで慎重に対応する姿勢が求められる。
この章句が説くこと
会問合同審理越権管轄
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