牧民忠告 / 聽訟
世俗之情,強者欺弱,富者吞貧,眾者暴寡,在官者多淩無勢之人。聽訟之際,不可不察。
新字:世俗之情,強者欺弱,富者吞貧,眾者暴寡,在官者多淩無勢之人。聴訟之際,不可不察。
書き下し
世俗の情、強き者は弱きを欺き、富める者は貧しきを吞み、衆(おお)き者は寡(すくな)きに暴(あら)く、官に在る者多くは勢(いきおい)無きの人を凌ぐ。訟を聴くの際、察せざる可からず。
現代語訳
世の中の人情として、強い者は弱い者を欺き、富める者は貧しい者を呑み込み、多勢は無勢に対して乱暴に振る舞い、権力を持つ者は多くの場合、後ろ盾のない者を踏みにじる。訴訟を裁く際には、このことをよくよく見極めなければならない。
解説
本条は訴訟における力の非対称性への注意を促す。強者・富者・多数派・権力者は、その立場ゆえに弱者を圧迫しがちであり、表面上の言い分だけを平等に扱えば、実質的には不公正な裁定になりかねない。裁く者は当事者間の力関係を意識的に見極める必要があると説く。これは現代の組織運営にも直結する視点であり、人事評価や社内トラブルの調停において、発言力の強い者や多数派の意見がそのまま正しいとは限らない。管理職は形式的な公平さだけでなく、立場の弱い少数者が不利益を被っていないかを常に注意深く観察する責任を負っている。
この章句が説くこと
別強弱強弱公正力関係
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