幽夢影 / 巻下・矧んや其の解語花爲るをや
買得一本好花,猶且愛護而憐惜之,矧其爲解語花乎?
新字:買得一本好花,猶且愛護而憐惜之,矧其為解語花乎?
書き下し
一本の好花を買ひ得ても、猶且つ之を愛護して憐惜す、矧んや其の解語花爲るをや。
現代語訳
よい花を一株買ったときでさえ、大切に守りいとおしむものです。ましてそれが、言葉を解する花であるならなおさらです。
解説
物言わぬ花さえ大切にするのだから、心を持つ人はなおさら大切にせよと説いた一則です。解語花は言葉を解する花という意味で、唐の玄宗が楊貴妃を指してそう呼んだという話から、美しい女性をたとえる言葉になりました。張潮は、買ってきた花を枯らさないよう気を配るのと同じ心で、身近な女性をいたわるべきだと言います。友人の王司直は「この言葉は惻隠の心であり、同時に是非の心でもある」と、孟子の説く心の働きに結びつけています。石天外は「この心を思うと念仏を唱えたくなる」と感じ入っています。花の世話はていねいなのに、身近な人への気づかいがおろそかになっていないか、振り返らせてくれる一則です。
この章句が説くこと
慈愛女性情思いやり花
関連する章句
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孟子・離婁章句上孟子曰く、「三代の天下を得るや、仁を以てし、其の天下を失うや不仁を以てす。國の所廢興存亡する所以の者も、亦た然り。天子不仁なれば、四海を保たず。諸侯不仁なれば、社稷を保たず。卿大夫不仁なれば、宗廟を保たず。士庶人不仁なれば、四體を保たず。今、死亡を惡みて、而も不仁を樂しむは、是れ猶ほ醉うことを惡みて、而も酒を強うるがごとし。」
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孟子・盡心章句上孟子曰く、「其の為さざる所を為すこと無く、其の欲せざる所を欲すること無し。此の如きのみ。」
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孟子・公孫丑章句上孟子曰く、「人皆人に忍びざるの心有り。先王、人に忍びざるの心有り、斯に人に忍びざるの政有り。人に忍びざるの心を以て、人に忍びざるの政を行わば、天下を治むること、之を掌上に運らす可し。人皆人に忍びざるの心有りと謂う所以の者は、今、人乍(たちまち)ち孺子の將に井に入らんとするを見れば、皆怵惕惻隱の心有り。交わりを孺子の父母に内るる所以に非ざるなり。譽をᰰ黨朋友に要むる所以に非ざるなり。其の聲を惡んで然るに非ざるなり。是に由りて之を觀れば、惻隱の心無きは、人に非ざるなり。羞惡の心無きは、人に非ざるなり。辭讓の心無きは、人に非ざるなり。是非の心無きは、人に非ざるなり。惻隱の心は、仁の端なり。羞惡の心は、義の端なり。辭讓の心は、禮の端なり。是非の心は、智の端なり。人の是の四端有るや、猶ほ其の四體有るがごときなり。是の四端有りて、而して自ら能わざると謂う者は、自ら賊う者なり。其の君能わずと謂う者は、其の君を賊う者なり。凡そ我に四端有る者は、皆擴して之を充たすことを知る。火の始めて然え、泉の始めて達するが若し。苟くも能く之を充たさば、以て四海を保んずるに足る。苟くも之を充たさざれば、以て父母に事うるに足らず。」
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