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幽夢影 / 巻上・惟だ琴を聽くは遠近皆宜し

凡聲皆宜遠聽,惟聽琴則遠近皆宜。

新字:凡声皆宜遠聴,惟聴琴則遠近皆宜。

書き下し

凡そ聲は皆宜しく遠く聽くべし、惟だ琴を聽くは則ち遠近皆宜し。

現代語訳

およそ音というものは、どれも遠くから聴くのがよいのですが、ただ琴だけは、遠くで聴いても近くで聴いてもよいものです。

解説

音の聴き方の距離を論じた一則です。多くの音は遠くから聞こえてくるほうが、角が取れて趣が増します。けれども琴、つまり古琴の音は、遠くで聴けば余韻が美しく、近くで聴けば指づかいの細やかな響きまで味わえるので、どちらでもよいと言います。古琴は文人が最も重んじた楽器で、音量が小さく、奏者の心がそのまま響くとされてきました。友人の王名友は、松籟や滝や鐘や読経は遠くで、琴や歌や雪の音は近くでなければその抑揚の妙がわからないと細かく分けています。龐天池は、色はすべて近くで見るべきで、山の色だけは遠近どちらもよいと返しました。距離を変えて味わう工夫は、人付き合いにも通じます。

この章句が説くこと

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