夜船閑話 / 本文
夫大道分れて兩儀あり、陰陽交和して人物生る。先天の元氣中間に默運して、五臟列り經脉行はる。衛氣營血互に昇降循環する者、晝夜に大凡五十度、肺金は牝藏にして膈上に浮び、肝木は牡藏にして膈下に沈む。心火は大陽にして上部に位し、腎水は大陰にして下部を占む。五臟に七神あり、脾腎各々二神を藏くす。呼は心肺より出で、吸は腎肝に入る。一呼に脉の行くこと三寸、一吸に脉の行くこと三寸、晝夜に一萬三千五百の氣息あり、脉一身を巡行すること五十次、火は輕浮にして、つねに騰昇を好み、水は沈重にして常に下流を務む。
新字:夫大道分れて両儀あり、陰陽交和して人物生る。先天の元気中間に黙運して、五臓列り経脉行はる。衛気営血互に昇降循環する者、昼夜に大凡五十度、肺金は牝蔵にして膈上に浮び、肝木は牡蔵にして膈下に沈む。心火は大陽にして上部に位し、腎水は大陰にして下部を占む。五臓に七神あり、脾腎各々二神を蔵くす。呼は心肺より出で、吸は腎肝に入る。一呼に脉の行くこと三寸、一吸に脉の行くこと三寸、昼夜に一万三千五百の気息あり、脉一身を巡行すること五十次、火は軽浮にして、つねに騰昇を好み、水は沈重にして常に下流を務む。
書き下し
夫大道分れて両儀あり、陰陽交和して人物生る。先天の元気中間に黙運して、五臓列り経脉行はる。衛気営血互に昇降循環する者、昼夜に大凡五十度、肺金は牝蔵にして膈上に浮び、肝木は牡蔵にして膈下に沈む。心火は大陽にして上部に位し、腎水は大陰にして下部を占む。五臓に七神あり、脾腎各々二神を蔵くす。呼は心肺より出で、吸は腎肝に入る。一呼に脉の行くこと三寸、一吸に脉の行くこと三寸、昼夜に一万三千五百の気息あり、脉一身を巡行すること五十次、火は軽浮にして、つねに騰昇を好み、水は沈重にして常に下流を務む。
現代語訳
そもそも大いなる道が分かれて陰と陽の二つがあり、陰陽が交わり和して人や万物が生まれる。天から受けた元気がその中で黙々と巡って、五臓が並び、経脈が通う。体を守る気と養う血が互いに昇り降りして巡ることは、昼夜におよそ五十回。肺は陰の臓で横隔膜の上に浮かび、肝は陽の臓で横隔膜の下に沈む。心は火で大いなる陽として上部にあり、腎は水で大いなる陰として下部を占める。五臓には七つの神が宿り、脾と腎にはそれぞれ二つの神が宿っている。吐く息は心と肺から出て、吸う息は腎と肝に入る。一回吐くと脈は三寸進み、一回吸うと脈は三寸進み、昼夜で一万三千五百回の呼吸がある。脈が全身を巡ることは五十回。火は軽く浮きやすく、常に上昇することを好み、水は重く沈み、常に下へ流れようとする。
解説

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五行大義・第十四論雑配・第四論配蔵府此の義は行気と同じからざるなり。『八十一問』に云う、五蔵倶に等しきに、心・肺独り鬲の上に在るは何ぞや。対えて曰く、心は気を主り、肺は血を主る。血は脈中を行き、気は脈外を行き、相随いて上下す。故に営衛(えいえ)と曰う。故に心・肺をして鬲の上に在らしむるなり、と。『甲乙経』に云う、黄帝、岐伯(ぎはく)に問いて曰く、人に五蔵有り、蔵に五変有り。肝は牡蔵たり、その色は青、その時は春、その日は甲乙。心は牡蔵たり、その色は赤、その時は夏、その日は丙丁。脾は牝蔵たり、その色は黄、その時は季夏、その日は戊己。肺は牝蔵たり、その色は白、その時は秋、その日は庚辛。腎は牝蔵たり、その色は黒、その時は冬、その日は壬癸、と。『素問』に曰く、肝は魂の居る所、陰中の小陽なり、故に春気に通ず。心は生の本、神の処る所にして陽たり、陽中の大陽なり、故に夏気に通ず。脾は倉廪(そうりん)の本、名づけて興化と曰う、能く糟粕(そうはく)を化し、味を転じて出入す、至陰の類なり、故に土気に通ず。肺は気の本、魄の処る所、陽中の少陰なり、故に秋気に通ず。腎は蟄を主る、封蔵の本、精の処る所、陰中の太陰なり、故に冬気に通ず、と。又云う、春は肝を食すること無かれ、夏は心を食すること無かれ、季夏は脾を食すること無かれ、秋は肺を食すること無かれ、冬は腎を食すること無かれ、と。『周礼』の疾医は万人の疾病を養うことを掌る者なり。肝を以て木と為し、心を火と為し、脾を土と為し、肺を金と為し、腎を水と為せば、則ち疾多く瘳(い)ゆ。その術に反すれば、則ち死す。月令の中霤の礼は、陰陽の遂退を以て次と為す。『白虎通』及び『素問』は医治の書にして、行実を用いて験と為す。故にその配する所是なり。
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五行大義・第十四論雑配・第四論配蔵府心は主守の官たり、神明出づとは、火は南方、陽光輝き、人君の象なり。神は身の君たり、君の南向して以て治むるが如し。易は離を以て火と為し、太陽の位に居る、人君の象なり。人の運動、情性の作(おこ)り、心に由らざるは莫し。故に主守の官たり、神明の出づる所なり。脾は倉廩の官たり、五味出づとは、万物生ずれば則ち土より出で、死すれば亦これに帰す。五穀の入るは、脾以てこれを受く。故に五味の出づるも、亦此に由るなり。肺は相傅の官たり、治節出づとは、金は能く裁断す。相傅の任は、治道に明らかにして、上下順教し、皆礼節有り。肺は五蔵に於いて、亦治節の生ずる所なり。『楽緯』に云う、商は章なり。臣は君の徳を章明して、以て上下を斉う、と。相傅の賢の由る所なり。腎は作強の官たり、伎巧出づとは、水の性は是れ智、智は必ず多能なり、故に伎巧有り。功は則ち自ら強めて息まざるなり。『八十一問』に曰く、蔵は各々一有り、腎独り両なるは何ぞや。左は腎、右は命門なり。命門は精神の会する所なり、と。『河図』に云う、肝・心は左に出で、脾・肺は右に出づ。腎と命門とは、並びに尺部に出づ、と。此れ脈候なり。問いて曰く、前の解に云う、腎は陰、故に双なりと。今左は腎、右は命門と言う。此れ豈に自ら乖張せざらんや。答えて曰く、命門と腎とは、名異にして形同じ。水の蔵にして則ち体質殊ならず、故に双なり。陰数を主るなり。名と為せば、則ち左右両つながら別れ、故に各々主る所有り。猶お三焦・膀胱の、倶に是れ水の府にして、両号を妨げざるがごとし。『老子経』及び『素問』に云う、
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五行大義・第十四論雑配・第四論配蔵府『白虎通』に又云う、木の浮かぶ所以、金の沈む所以は何ぞや。子は母に生ずるの義なり。肝の以て沈み、肺の以て浮かぶは何ぞや。知有る者はその母を尊ぶなり、と。一説に云う、甲木は金を畏れ、乙を以て庚に妻(めあ)わせ、庚の化を受く。木はその本に法(のっと)り、甲に直(あた)る、故に浮かぶ。肝はその化に法り、乙に直る、故に沈む。庚金は火を畏れ、辛を以て丙に妻わせ、丙の化を受く。金はその本に法り、庚に直る、故に沈む。肺はその化に法り、辛に直る、故に浮かぶ、と。河上公(かじょうこう)の『老子』に注して云う、肝は魂を蔵し、肺は魄を蔵し、心は神を蔵し、腎は精を蔵し、脾は志を蔵す。五蔵尽く傷つけば、則ち五神去る、と。『道経義』に云う、魂は肝に居り、魄は肺に在り、神は心に処り、精は腎に蔵し、志は脾に託す、と。此れ『素問』と同じ。魂は木の気たり、神は火の気たり、志は土の気たり、魄は金の気たり、精は水の気たり。魂は目に通じ、神は舌に通じ、志は口に通じ、魄は鼻に通じ、精は耳に通ず。『甲乙経』に云う、鼻は肺の官たり、目は肝の官たり、口唇は脾の官たり、舌は心の官たり、耳は腎の官たり。故に肺病めば、喘息し、鼻張る。肝病めば、目閉じ、眥(まなじり)青し。脾病めば、口唇黄にして乾く。心病めば、舌巻きて短く、顔赤し。腎病めば、権(ほお)と顔と黒黄にして、耳聾す、と。此れを五官と名づく。相書に亦五候と名づく。鼻・人中を以て一官と為し、心を主る。余は並びに同じ。候とは、五蔵の善悪の色、五官に出づるを以て、吉凶を占候すべきなり。鼻・人中は、猶お是れ口の分のごときなり。
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『夜船閑話』本文許俊が云く、蓋し気下焦に在る則は、其息遠く、気上焦に有る則は、其息促まる。上陽子が曰く、人に真一の気有り、丹田の中に降下する則は、一陽また復す。若人始陽初復の候を知らむと欲せば、暖気を以て是が信とすべし。大凡生を養ふの道、上部は常に清凉ならんことを要し、下部は常に温暖ならんことを要せよ。
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五行大義・第二十三論諸人・第一論人配五行人は天地の変化を受けて生ず。一月にして膏(こう)し、二月にして脈し、三月にして胞(ほう)し、四月にして肌し、五月にして筋し、六月にして骨し、七月にして形を成し、八月にして動き、九月にして躁(さわ)ぎ、十月にして生まる。形骸已(すで)に成りて、五蔵乃ち形(あら)わる。外を表と為し、中を裏と為す。頭の員(まる)きは天に法(のっと)り、足の方なるは地に象る。天に四時・五行・九星・三百六十日有り、人も亦た四支・五蔵・九竅(きゅうきょう)・三百六十節有り。天に風雨寒暑有り、人も亦た喜怒哀楽有り。『淮南子』及び『文子』並びに云う、胆を雲と為し、肺を気と為し、脾を風と為し、腎を雨と為し、肝を電と為し、天と相類して、心を主と為す。耳目は日月なり、気血は風雨なり、と。『素問』に云う、夫れ人は天地に法る。故に聖人は上は天に配して以て頭を養い、下は地に象りて以て足を養い、中は人事に傍(よ)りて以て五蔵を養う。天気は肺に通じ、地気は咽(いん)に通じ、風気は肝に通じ、雷気は心に通じ、穀気は脾に通じ、雨気は腎に通ず。六経を川と為し、腸胃を海と為し、九竅を水と為す。天の紀に法り、地の理を用うれば、則ち災禍去る、と。『左慈相決』に云う、人の頭の員きは以て天に法り、足の方なるは以て地に象る。左目を日と為し、右目を月と為し、左眉を青竜と為し、右眉を白虎と為し、鼻を勾陣(こうちん)と為し、伏犀(ふくさい)を朱雀と為し、玉枕(ぎょくちん)を玄武と為す、と。又た云う、前を朱雀と為し、後を玄武と為し、左を青竜と為し、右を白虎と為す、是を四体と曰う。頭を勾陳と為す、是れ身の主なり、と。又た曰く、左耳の後を太山と為し、右耳の後を華山と為し、額を衡山と為し、頂の後を恒山と為し、鼻を嵩高山(すうこうざん)と為す、と。『相秘訣』に云う、
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五行大義・第十四論雑配・第四論配蔵府五蔵にして六府有るは、亦六気の五行に因りて生ずるが如きなり。又五性の六情を生ずるが如きなり。『素問』に云う、皮は大腸に応じ、その栄は毛、心を主る。脈は小腸に応じ、その栄は色、腎を主る。筋は胆に応じ、その栄は爪、肺を主る。肉は胃に応じ、その栄は唇、肝を主る。腠理(そうり)・毫毛は三焦・膀胱に応じ、その栄は髪、脾を主る、と。皮は大腸に応じ、その栄は毛、心を主るとは、心は是れ身の君、皮は是れ身の城郭、毛は是れ身の羽衛、大腸は是れ気の道路なり。故に並びに相通ず。心は是れ火の蔵、大腸は是れ金の府なり、故に以て配す。丙辛の主る所なり。脈は小腸に応じ、その栄は色、腎を主るとは、腎は水なり。脈は是れ血の溝渠にして、水を通流す。気色は是れ人の光采なり。血気若し盛んなれば、則ち容色壮悦し、血気若し衰うれば、則ち容顔枯悴す。腎は水の蔵たり。小腸は既に受盛して水気を容著し、又是れ火の府なり、故に以てこれに配す。丁壬の主る所なり。筋は胆に応じ、その栄は爪、肺を主るとは、筋は是れ皮内の剛強なり、爪は是れ皮外の剛利なり。肺は是れ金の蔵、胆は剛精の性有り、又是れ木の府なり、故に以て相配す。乙庚の主る所なり。肉は胃に応じ、その栄は唇、肝を主るとは、胃は能く五穀の精気を消化して肉と為す。五穀は口より入る、故に栄潤は唇に在り。肝は是れ木の蔵、仁にして能く生ず。胃は是れ土の府なり、故に以て相配す。甲己の主る所なり。