都鄙問答 / 卷之四・淨土宗之僧、念佛ヲ勸之段
念佛衆生攝取不舍、他宗ハ脩行ノ功ヲ積、觀念座禪等ヲ以テ、此理ヲ悟ナリ、然ルニ難行ヲセズシテ、悟開カルヽユヘニ、念佛宗旨ハ、諸宗ニ勝レリト、汝モ口眞似スルニアラズヤ、釋尊ノ法性ヲ悟リ、一佛成道シ玉フト、念佛ニテ、法性ニ至リ、自然悟道シタルト、二ッノ替リアリヤ、法性ニ二ッ無クバ、南無阿彌陀佛ニテ、淨土宗門ハ事足ルベシ、然レドモ、傳授ナクテハ不足ト云ハヾ、大師ノ起請ハ、僞リト云テ破リ舍ンヤ、如何、
新字:念仏衆生摂取不舎、他宗ハ脩行ノ功ヲ積、観念座禅等ヲ以テ、此理ヲ悟ナリ、然ルニ難行ヲセズシテ、悟開カルヽユヘニ、念仏宗旨ハ、諸宗ニ勝レリト、汝モ口真似スルニアラズヤ、釈尊ノ法性ヲ悟リ、一仏成道シ玉フト、念仏ニテ、法性ニ至リ、自然悟道シタルト、二ッノ替リアリヤ、法性ニ二ッ無クバ、南無阿弥陀仏ニテ、浄土宗門ハ事足ルベシ、然レドモ、伝授ナクテハ不足ト云ハヾ、大師ノ起請ハ、偽リト云テ破リ舎ンヤ、如何、
書き下し
念仏衆生摂取不舎。他宗は脩行の功を積み、観念座禅等を以て、此理を悟るなり。然るに難行をせずして、悟り開かるゝゆへに、念仏宗旨は、諸宗に勝れりと、汝も口真似するにあらずや。釈尊の法性を悟り、一仏成道し玉ふと、念仏にて、法性に至り、自然悟道したると、二つの替りありや。法性に二つ無くば、南無阿弥陀仏にて、浄土宗門は事足るべし。然れども、伝授なくては足らずと云はゞ、大師の起請は、偽りと云ひて破り舎てんや。如何。
現代語訳
念仏する衆生を摂め取って捨てない、とあります。他の宗派は修行の功を積み、観念や坐禅によってこの理を悟ります。念仏宗は難しい修行をせずに悟りが開けるから諸宗に勝る、とあなたも口真似しているではありませんか。釈尊が法性を悟って成道されたのと、念仏によって法性に至り自然に悟ったのとで、違いがあるでしょうか。法性に二つが無いのなら、南無阿弥陀仏だけで浄土宗門は事足りるはずです。それなのに伝授が無くては足りないと言うのなら、法然大師の起請文は偽りだと言って破り捨てるのですか。いかがですか。」
解説

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