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帝範 / 建親第二

漢初定闗中,誡亡秦之失策,廣封懿親,過於古制。大則専都偶國,小則跨郡連州。末大則危,尾大難掉。六王懐叛逆之志,七國受鈇鉞之誅。此皆地廣兵彊積勢之所致也。魏武創業,暗於逺圗。子弟無封户之人,宗室無立錐之地。外無維城以自固,内無盤石以為基。遂乃大器保於他人,社稷亡於異姓。語曰:“流盡其源竭,條落則根枯。”此之謂也。

新字:漢初定関中,誡亡秦之失策,広封懿親,過於古制。大則専都偶国,小則跨郡連州。末大則危,尾大難掉。六王懐叛逆之志,七国受鈇鉞之誅。此皆地広兵彊積勢之所致也。魏武創業,暗於遠図。子弟無封戸之人,宗室無立錐之地。外無維城以自固,内無盤石以為基。遂乃大器保於他人,社稷亡於異姓。語曰:“流尽其源竭,条落則根枯。”此之謂也。

書き下し

漢(かん)初(はじ)め闗中(かんちゅう)を定(さだ)め、亡秦(ぼうしん)の失策(しっさく)を誡(いまし)め、廣(ひろ)く懿親(いしん)を封(ほう)じ、古制(こせい)に過(す)ぐ。大(だい)は則(すなは)ち都(と)を専(もっぱ)らにして國(くに)に偶(なら)び、小(しょう)は則(すなは)ち郡(ぐん)に跨(またが)り州(しゅう)に連(つら)なる。末(すゑ)大(だい)なれば則(すなは)ち危(あや)ふく、尾(を)大(だい)なれば掉(ふる)ひ難(がた)し。六王(りくおう)叛逆(はんぎゃく)の志(こころざし)を懐(いだ)き、七國(しちこく)鈇鉞(ふえつ)の誅(ちゅう)を受(う)く。此(こ)れ皆(みな)地(ち)廣(ひろ)く兵(へい)彊(つよ)く勢(いきほひ)を積(つ)むの致(いた)す所(ところ)なり。魏武(ぎぶ)業(ぎょう)を創(はじ)め、遠圗(えんと)に暗(くら)し。子弟(してい)に封戸(ほうこ)の人(ひと)無(な)く、宗室(そうしつ)に立錐(りっすい)の地(ち)無(な)し。外(そと)に維城(いじょう)の以(も)って自(みづか)ら固(かた)むる無(な)く、内(うち)に盤石(ばんじゃく)の以(も)って基(もとゐ)と為(な)す無(な)し。遂(つひ)に乃(すなは)ち大器(たいき)他人(たにん)に保(たも)たれ、社稷(しゃしょく)異姓(いせい)に亡(ほろ)ぶ。語(ご)に曰(いは)く、流(ながれ)盡(つ)くれば其(そ)の源(みなもと)竭(つ)き、條(えだ)落(お)つれば則(すなは)ち根(ね)枯(か)る、と。此(これ)の謂(いひ)なり。

現代語訳

漢は関中を平定した初め、滅んだ秦の失策を戒めとして、広く一族を封じたが、古い制度の枠を超えてしまった。大きい封国は都を専有して中央と並び立ち、小さい封国でも郡をまたぎ州に連なった。末端が大きくなれば危うく、尾が大きければ振り回せない。六人の王は反逆の志を抱き、呉楚七国は誅伐を受けた。これはみな、土地が広く兵が強く勢いが積み上がった結果である。魏の武帝(曹操)は事業を興したが、遠い先を見通せなかった。子弟には封じられた領民がなく、一族には錐を立てるほどの土地もない。外には守りの垣がなく、内には礎とする盤石がない。ついに大いなる器は他人に保たれ、社稷は異姓に滅ぼされた。ことわざに言う、流れが尽きれば源も涸れ、枝が落ちれば根も枯れる、と。まさにこのことである。

解説

前章が「分けなければ倒れる」なら、この章は「分けすぎても倒れる」である。漢は封じすぎて呉楚七国の乱を招き、魏は封じなさすぎて司馬氏に取られた。両極の失敗例を並べたうえで、太宗は答えを一方に寄せない。「末大なれば則ち危ふく、尾大なれば掉ひ難し」——大きくなった末端は制御できなくなる。この一句は権限委譲のもっとも古典的な警告である。ここで示されているのは、分権か集権かという二択の答えではなく、どちらにも固有の死に方があるという事実だ。片方の失敗を恐れて反対側に振り切ると、もう片方の失敗が待っている。次章の結論が「衆く宗親を建てて力を少なくす」という中間解になるのも、この構図から出てくる。

この章句が説くこと

尾大不掉呉楚七国の乱魏の孤立権限委譲

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