酔古堂剣掃 / 集法・官に居るの七要
正以處心,廉以律已,忠以事君,恭以事長,信以接物,寬以待下,敬以洽事,此居官之七要也。
新字:正以処心,廉以律已,忠以事君,恭以事長,信以接物,寛以待下,敬以洽事,此居官之七要也。
書き下し
正以て心を處し、廉以て已を律し、忠以て君に事へ、恭以て長に事へ、信以て物に接し、寬以て下を待ち、敬以て事を洽す、此れ官に居るの七要なり。
現代語訳
正しさによって心を保ち、清廉さによって自分を律し、忠誠によって君主に仕え、恭しさによって目上に仕え、信義によって人や物事に接し、寛大さによって目下を遇し、慎み深さによって仕事を行き渡らせる。これが官職にある者の七つの要です。
解説
官職にある者の心得を、七つの徳目にまとめた一則です。正、廉、忠、恭、信、寛、敬の七つが、それぞれ心、己、君、長、物、下、事に対応しています。自分自身には正と廉、上には忠と恭、周りには信、下には寛、仕事には敬と、向かう相手ごとに求められる徳が整理されています。原文の律已は、律己の己を已と書いたものです。今日の組織で働く人にとっても、これはそのまま通用する心得でしょう。自分がどの相手に対して、どの徳を欠きがちかを点検するのに役立つ一則です。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
治政居官修身忠信清廉
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『五常訓』巻之四・礼一礼器云、先王の礼を立つる、本あり、文あり。忠信は礼の本なり。義理は礼の文なり。本無ければ立たず。文なければ行はれず。いふ心は、礼に本あり。忠信を本とす。忠信はまことなり。礼に文あり。義理を文とす。義理とは、外に行ふ処のあらはれたるしわざの、すぢめよきを云ふ。本なければ礼の道立たず。万の事、皆誠より出づ。誠なければ物なし。されど又外のわざ、理にかなはざれば、文無くして、礼の道行はれず。必本末二ながらそなはりて、礼の道全し。されど先本をつとむるを要とすべし。忠信を本として、礼文行はるるは、たとへば味甘き物は、五味の和をうけ、色白きものは、五色の采をうくるが如し。忠信ある人は礼を学ぶべし。質よき故に、外の礼文そなはりやすし。
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『慎思録』巻之二聖人の教へは、忠信を主とするを以て本と為す。所謂之を誠にせんと思ふ者は、人の道なり。居敬を以て忠信を主とするの工夫と為す。苟も忠信を以て主と為さずして、徒に敬を以て一心の主宰と為さば、是れ工夫を以て心の主と為すなり。恐らくは敬に偏りて、流れて束縛強持の病と為らん。甚だしきは色仁を執りて、行ひ違ふ者之有り。夫れ敬は古来聖賢伝授の心法なり。然るに近世の持敬者は、一副当の病と為る。学者須らく居敬の方を知りて、而る後に持敬すべし。
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『弁名』忠信忠信連ね言ふも、亦た人の為に謀り人と言ふ者を以て之を言ふ。「忠信を主とす」の如きも、亦た此を以て主と為すなり。「忠信の人」も、亦た能く此くする人を謂ふなり。「忠信を主とし、義に徙る」と曰ひ、「忠信の人、以て礼を学ぶべし」と曰ふ。礼義は先王の道なり。忠信は中庸の徳なり。高きに登るは必ず卑きよりし、遠きに行くは必ず邇きよりす。故に先王の道を学ぶには、必ず忠信を以て基と為す。易の文言に「忠信は徳を進むる所以なり。辞を脩め其の誠を立つるは、業に居る所以なり」と曰ふが如し。辞を脩むとは詩書を学ぶを謂ふなり。其の誠を立つとは礼楽を学ぶを謂ふなり。詩書は義の府なり。故に「義に徙る」「以て礼を学ぶべし」と、其の意相発す。孔子曰く、「十室の邑、必ず忠信丘が如き者有らん。丘の学を好むに如かざるなり」と。則ち忠信有りと雖も、学ばざれば未だ郷人たるを免れざるなり。祇だ先王の道を学ぶも、中庸の徳に依らざれば、則ち基立たず、遠きに行き高きに登らんと欲するも亦た得べからず。是れ孔門の忠信を貴ぶ所以の意なり。
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論語・子罕篇子曰く、忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること毋かれ。過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。
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