酔古堂剣掃 / 集法・節行は之を失へば終身得べからず
士人所貴,節行為大。軒冕失之,有時而復來;節行失之,終身不可得矣。
新字:士人所貴,節行為大。軒冕失之,有時而復来;節行失之,終身不可得矣。
書き下し
士人の貴ぶ所は、節行を大と為す。軒冕は之を失ふも、時有りて復た來る。節行は之を失へば、終身得べからず。
現代語訳
士人が尊ぶべきものの中で、節操ある行いが最も大切です。官位や地位は失っても、時が来ればまた戻ってきます。しかし節操ある行いは、一度失えば、一生取り戻すことはできません。
解説
地位と節操の値打ちの違いを明らかにした一則です。軒冕は、高官が乗る車と冠のことで、官位や地位を表します。地位は失っても、運や時勢が変われば取り戻せます。しかし節行、つまり節操を守った行いは、一度でも破れば、その人への信用は二度と元に戻りません。だから士人は、地位よりも節操を重んじるべきだと言います。目先の出世や利益のために筋を曲げたくなる場面は、誰にでもあります。そのとき、取り戻せるものと取り戻せないものを見分けることが、一生を左右するのでしょう。
この章句が説くこと
節操信用修身気骨地位
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