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酔古堂剣掃 / 集豪・一世の人の好まんことを欲す

為文而欲一世之人好,吾悲其為文;為人而欲一世之人好,吾悲其為人。

書き下し

文を為りて一世の人の好まんことを欲すれば、吾其の文を為るを悲しむ。人と為りて一世の人の好まんことを欲すれば、吾其の人と為りを悲しむ。

現代語訳

文章を書くのに世間じゅうの人に好かれようとするなら、私はその文章の書き方を悲しく思います。人として生きるのに世間じゅうの人に好かれようとするなら、私はその人柄を悲しく思います。

解説

誰からも好かれようとすることの危うさを、文章と人柄の二つに重ねて説いた一則です。すべての人に受ける文章は、角を取り去って中身が薄くなりがちです。人柄も同じで、誰にでもいい顔をする人は、自分の考えを持たない人になってしまいます。『論語』でも、村の人が皆好む人はどうかと問われた孔子が、善い人に好かれ悪い人に憎まれる者に及ばないと答えています。万人受けを狙うより、分かる人に深く届くことを大切にしたいものです。嫌われる勇気も、ときには必要だということです。

この章句が説くこと

処世文章信念八方美人自立

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