酔古堂剣掃 / 集素・曲高ければ寡和の嫌を生ず
曲高每生寡和之嫌,歌唱需求同調;眉修多取入宮之妒,梳洗切莫傾城。
新字:曲高毎生寡和之嫌,歌唱需求同調;眉修多取入宮之妬,梳洗切莫傾城。
書き下し
曲高ければ每に寡和の嫌を生ず、歌唱は同調を需め求むべし。 眉修まれば多く入宮の妒を取る、梳洗は切に城を傾くること莫かれ。
現代語訳
曲の調べが高尚すぎると、唱和する人が少ないという嫌いがいつも生じます。歌を歌うなら、調子を合わせてくれる人を求めるべきです。眉が美しく整っていると、宮中に入ったとたん多くの妬みを受けます。髪を梳き顔を洗うにも、国を傾けるほどの美しさを見せつけてはいけません。
解説
才能や美しさを持つ人が、周囲との調和を保つための心得を説いた一則です。曲高和寡は、戦国時代の宋玉が、高尚な曲ほど唱和できる人が少ないと語った話に基づく言葉です。女は美醜にかかわらず宮中に入れば妬まれる、という言い回しも古くからあり、後半はそれを踏まえています。傾城は、城を傾けるほどの美人を指す言葉です。自分の高さを誇るより、仲間を求めて声を合わせ、美しさもほどほどに抑えて妬みを避けよ、という処世の知恵です。専門知識や成果を持つ人ほど、周りとの温度差に気を配り、共に歌える仲間を探すことが大切なのかもしれません。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
処世謙虚調和嫉妬才能
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