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酔古堂剣掃 / 集素・苦境に當りて反つて甘きを覺ゆ

當樂境而不能享者,畢竟是薄福之人;當苦境而反覺甘者,方才是真修之士。

新字:当楽境而不能享者,畢竟是薄福之人;当苦境而反覚甘者,方才是真修之士。

書き下し

樂境に當りて享くる能はざる者は、畢竟是れ薄福の人なり。 苦境に當りて反つて甘きを覺ゆる者は、方才に是れ真修の士なり。

現代語訳

楽しい境遇にありながら、それを味わえない人は、結局のところ福の薄い人です。苦しい境遇にありながら、かえってそこに甘みを感じられる人こそ、本当に修養を積んだ人です。

解説

境遇と、それを受け取る心との関係を対句で示した一則です。前の句は、楽しい境遇に恵まれていても、心配や不満にとらわれてそれを楽しめない人を薄福と呼びます。福は外から与えられるだけでなく、それを受け取る力が伴って初めて福になるという見方です。後の句は反対に、苦しい境遇の中にかえって甘みを見いだせる人を、真修の士と讃えます。苦しみの中で得られる学びや、ささやかな喜びを味わえる力こそ修養の成果だというのです。恵まれた状況で不満ばかり口にしていないか、苦しい状況で小さな甘さを見落としていないか、振り返ってみたい一句です。

この章句が説くこと

修身幸福逆境心境

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