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酔古堂剣掃 / 集靈・我人に勝つは福に非ず

人勝我無害,彼無蓄怨之心;我勝人非福,恐有不測之禍。

書き下し

人我に勝つも害無し、彼に蓄怨の心無ければなり。我人に勝つは福に非ず、恐らくは不測の禍有らん。

現代語訳

人が自分に勝っても害はありません。相手には恨みをためこむ心が生まれないからです。自分が人に勝つのは福ではありません。思いがけない禍が起こるおそれがあるからです。

解説

勝ち負けの損得を、相手の心の動きから考えた対句です。蓄怨は恨みを心にためこむこと、不測は予測できないことです。人に負けた場合、相手は満足しているので、自分に恨みを抱くことはありません。ところが自分が勝った場合、負けた相手は恨みを抱き、いつか思いもよらぬ形で仕返しをしてくるかもしれません。だから勝つことは必ずしも福ではないのです。老子の、争わないからこそ天下に争う者がないという考えにも通じます。職場の議論や交渉で相手を言い負かすことに快感を覚えがちですが、勝ちすぎないこと、相手の面子を残すことが、長い目で見て自分を守ることになります。

この章句が説くこと

処世謙虚争い禍福道家

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