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酔古堂剣掃 / 集靈・一部の天然の樂韻

從江干溪畔,箕踞石上,聽水聲浩浩潺潺,粼粼冷冷,恰似一部天然之樂韻,疑有湘靈在水中鼓瑟也。

新字:従江干渓畔,箕踞石上,聴水声浩浩潺潺,粼粼冷冷,恰似一部天然之楽韻,疑有湘霊在水中鼓瑟也。

書き下し

江干溪畔よりして、石上に箕踞し、水聲の浩浩潺潺、粼粼冷冷たるを聽けば、恰も一部の天然の樂韻に似たり、湘靈の水中に在りて瑟を鼓するかと疑ふ。

現代語訳

川辺や谷川のほとりから石の上に足を投げ出して座り、水の音がごうごうと、さらさらと、きらきらと、ひんやりと響くのを聴いていると、まるでひとそろいの天然の音楽のようで、湘水の女神が水の中で瑟を弾いているのかと思うほどです。

解説

水の音を天然の音楽として聴く楽しみを描いた一則です。浩浩は水が広々と流れる音、潺潺はさらさらと流れる音、粼粼は水が澄んできらめく様子、冷冷は清らかに響く音で、畳語を重ねて水音の変化を写しています。湘靈は湘水の女神で、楚辞の遠遊に湘霊に瑟を鼓かせるとあり、唐の銭起の詩でも名高い存在です。瑟は大型の弦楽器です。人の奏でる音楽でなくとも、耳を澄ませば自然の音はそれ自体が豊かな調べになります。川辺に座って水音を聴くことは、今もお金のかからない最上の音楽鑑賞と言えるでしょう。

この章句が説くこと

自然山水風雅音楽閑適

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