酔古堂剣掃 / 集峭・有事には無事の時の如く鎮定す
無事如有事時隄防,可以弭意外之變;有事如無事時鎮定,可以銷局中之危。
新字:無事如有事時堤防,可以弭意外之変;有事如無事時鎮定,可以銷局中之危。
書き下し
無事には有事の時の如く隄防すれば、以て意外の變を弭むべし;有事には無事の時の如く鎮定すれば、以て局中の危を銷すべし。
現代語訳
何事もないときには、事が起きたときのように備えを固めておけば、思いがけない変事を鎮めることができます。事が起きたときには、何事もないときのように心を落ち着けていれば、渦中の危機を消し去ることができます。
解説
平時と有事とで、心の持ち方を逆にせよと説いた対句で、『菜根譚』にもほぼ同じ句があります。隄防は堤を築いて防ぐように備えること、弭は鎮め止めることです。鎮定は落ち着いて動じないこと、局中の危は、今まさに渦中にある危機のことです。人はふつう、平時には油断し、有事には慌てふためきます。その逆をせよ、というのがこの句の教えです。何もないときにこそ最悪を想定して備え、いざというときには平時のように冷静に振る舞う。危機管理の要諦がここに凝縮されています。順調なときの備えと、非常時の平常心の両方を、自分の中に育てておきたいものです。
この章句が説くこと
菜根譚危機管理備え平常心処世
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