酔古堂剣掃 / 集情・二十五郎管を吹きて逐ふ
春嬌滿眼睡紅綃,掠削雲鬟旋粧束,飛上九天歌一聲,二十五郎吹管逐。
新字:春嬌満眼睡紅綃,掠削雲鬟旋粧束,飛上九天歌一声,二十五郎吹管逐。
書き下し
春嬌眼に滿ちて紅綃に睡る、雲鬟を掠削して旋ち粧束す、飛びて九天に上る歌一聲、二十五郎管を吹きて逐ふ。
現代語訳
春のなまめかしさを目にたたえて紅い薄絹の中で眠っていた人が、豊かな髪をさっと梳き整えて、たちまち身支度をすませます。天の高みまで舞い上がるような歌声を一声あげると、二十五郎(邠王)が笛を吹いてその歌を追いかけます。
解説
唐の元稹の連昌宮詞に見える、玄宗の時代の名歌手念奴を描いた場面です。宴の最中に眠っていた念奴が呼び出され、髪を整えてすぐに装うと、その歌声は天にまで届くようで、玄宗の一族の二十五郎、邠王が笛で伴奏したと歌われています。紅綃は紅い薄絹、雲鬟は雲のように豊かな髪、掠削は髪を梳いて整えることです。寝起きでもさっと支度を整えて最高の歌を聴かせる姿に、一流の芸人の凄みがあります。いつ呼ばれても力を出せるのは、日ごろの積み重ねがあるからです。本番に強い人は、準備を普段の暮らしに溶け込ませている人なのでしょう。
この章句が説くこと
音楽芸道情宮廷準備
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